第二十二話 刺客③
「………」
さくらは一瞬、心之介のほうを向きかけたものの、そのまま歩き続けた。
「
「今回も約束は守っていただけますよね?」
すると、さくらが前を見たままながらすぐに聞いてきた。
人を殺めないこと。
それが、心之介に用心棒を依頼した時の絶対条件だった。
医師として、命を救う立場の人間として、それだけは譲れないのかも知れなかった。
だが、あの夜、さくらは心之介が影法師を斬るところを見ている。
しかも、あれが人間ではないということも伝えてある。
だから心之介も条件をつけた。
影法師だけは例外にと。
そして、さくらはそれを受け入れたのだった。
「………」
心之介はチラッとさくらを見た。
その横顔はやはり真剣だった。
とはいえ、命を奪おうとしてくる相手は目的を果たすために無差別に攻撃してくるので、身を守るのは簡単ではなかった。
にもかかわらず、心之介もさくらの条件を飲んだ。
ずっとその信条で生きてきたからだった。
それは葉宮家の掟と同じだったのだ。
「はい………」
だから、心之介はそう答えた。
そして二人は並んで歩き、小橋三軒通りへの角を曲がると、あとをつけてきた男たちも足を早めた。
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