第七話 ドクダミ③

「そんなに変な味がするの?」

「分量はちょうど良かったから、そんなことないと思うんだけど」


 二人が試しに大根を食べてみたところ、すぐに口がとまった。


「おかしいわね………?」

「どうしてかしら………?」


 より不可解そうな表情になったお梅とお里に多助が聞いた。


「ちなみに、味見はしたのか?」

「いいえ」

「全然」

「ちゃんと味を確かめてくれって言っているんだけどな?」

「だって、見た目は同じだったから」

「そう、色もいい感じになっていたし」


 二人があっけらかんと答えるので、多助はまたもや肩をすくめた。


 これがいつもの調子だからだった。


 にもかかわらず、さくらはお梅とお里にあえて料理係をしてもらっていた。


 もちろん、他の子供たちからは別の人と代えてほしいと何度も訴えがあったが、さくらは意思を曲げなかった。


 何故なら、二人もここに流れ着いた孤児だからだ。


 将来、お梅とお里が一人前の人として生きていけるようにしてあげたい、そういう思いがあってのことだった。


「食べるものがあることと、作ってくれる人がいることに感謝しましょう」


 だから、さくらはそう言ってまた美味しそうに大根の煮物を食べた。

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