第七話 ドクダミ③
「そんなに変な味がするの?」
「分量はちょうど良かったから、そんなことないと思うんだけど」
二人が試しに大根を食べてみたところ、すぐに口がとまった。
「おかしいわね………?」
「どうしてかしら………?」
より不可解そうな表情になったお梅とお里に多助が聞いた。
「ちなみに、味見はしたのか?」
「いいえ」
「全然」
「ちゃんと味を確かめてくれって言っているんだけどな?」
「だって、見た目は同じだったから」
「そう、色もいい感じになっていたし」
二人があっけらかんと答えるので、多助はまたもや肩をすくめた。
これがいつもの調子だからだった。
にもかかわらず、さくらはお梅とお里にあえて料理係をしてもらっていた。
もちろん、他の子供たちからは別の人と代えてほしいと何度も訴えがあったが、さくらは意思を曲げなかった。
何故なら、二人もここに流れ着いた孤児だからだ。
将来、お梅とお里が一人前の人として生きていけるようにしてあげたい、そういう思いがあってのことだった。
「食べるものがあることと、作ってくれる人がいることに感謝しましょう」
だから、さくらはそう言ってまた美味しそうに大根の煮物を食べた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます