第五話 ドクダミ①
うぐいすの家の一室にみんなが集まり終えると、ほどなくしてさくらがやってきた。
そのあとで、心之介が一番最後に染五郎を抱いてやってきた。
これで全員が揃ったので、ようやく朝食が食べられる。
お腹を空かせた子供たちは、ご膳の上の朝食を見ながらそう思った。
ところが、染五郎が心之介の腕から飛び下りて逃げ出してしまった。
「あちゃあ、また逃げられたぞ」
「心さん、ちゃんと染五郎をつかまえていないとダメよ」
からかうように
「なかなか気難しくて………」
子供たちはすっかり心之介になついている様子だったので、さくらも安心した。
「お腹が空けば来るでしょう。さあ、食べましょう」
結局、さくらがそう言うと、みんなでいただきますをした。
すると、年上の何人かが幼い子供たちに自分の分をわけてあげていた。
食事は見るからに質素だったが、それでも誰一人文句も言わなかった。
さらには、男の子も女の子もなく、それぞれに隣の子の面倒を見てあげている。
ここではそれが普通の日常だった。
心之介はそんな光景にふと居心地の良さを感じていた。
だが、この穏やかさも、じきに………。
そう思うと複雑な心境にならざるを得なかった。
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