第147話 事故る奴は不運と踊っちまったんだよ
翌日の金曜日、リアルでは高田馬場の工事現場の事故があったと報道されたが、巻き込まれた久遠も寧々も巻き込まれていたら危なかったと口裏を合わせた。
それから、久遠は寧々からUDSにおいて<爆撃伯爵(
ヴァルキリーと言えば戦女神のことだから、戦女神のいる都市で戦都にしたそうだ。
領地を持ったのは寧々が2人目であり、もう少しで
そんな情報交換をしてから帰宅し、夕食や寝る前の諸々を済ませた久遠はUDSにログインする。
昨日のコラボ配信で新しいコンテンツが解放されたから、宵闇ヤミはデーモンズソフトの依頼でロシアンルーレットの紹介配信をするので今日はコラボ配信がない。
ちなみに、ミニゲームで解禁されたロシアンルーレットだが、従魔以外で所有するアンデッドモンスターのカード一覧から賭けるカードを決め、そのアンデッドモンスターの体を借りて行う。
勝負に勝てば、他のプレイヤーあるいはNPCが賭けたカードを総取りできるが、負ければ賭けたカードは戻って来ない仕様だ。
それはさておき、生産系デイリークエストを済ませてから鬼童丸はタナトスに声をかける。
「タナトス、俺が行ける場所で中立派の残党が隠れてる所ってある?」
「それなら多摩市に行ってみると良い。あそこは今日の正午でプレイヤーがログインしてから3日経ったから、今は無法地帯になっている。無法地帯になれば中立派の残党が隠れるのに丁度良いから、きっといるはずだ」
「なるほどね。じゃあ、多摩市に行ってみるか」
「待て。どうせなら其方の鍛錬になる仕事を与えよう」
タナトスがそういった直後にチャレンジクエストが発行された。
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チャレンジクエスト:多摩市に潜む中立派の残党を討伐せよ
達成条件:Lv上限100のLv50以下のアンデッドモンスターだけで中立派の残党を討伐
失敗条件:使役するアンデッドモンスターの全滅かLv51以上のアンデッドモンスターの参戦
報酬:各種ブースターⅢ型1セット
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(マジ? イミテスターとミストルーパーも使えないんだが)
大罪を司るドラクールとリビングフォールン、ヨモミチボシだけでなく、イミテスターとミストルーパーまで召喚してはいけないクエストだから、かなり厳しい条件を設けられたと言えよう。
「俺の戦力が半減どころじゃないんだけど」
「このチャレンジクエストは直近で
「それぐらいやらなきゃ手に入らないってことね、了解」
鬼童丸はチャレンジクエストを受け、都庁から稲城市のよみうりランドまで転移した。
「
ビヨンドカオスを召喚して【
(坂東市みたいにギャンブル勝負でしか戦えないってことはないよな?)
多摩市に入ったその時、鬼童丸はアンデッドモンスターの混成集団に待ち構えられていた。
その混成集団だが、いずれも不思議な組み合わせだった。
乗物要素のあるアンデッドモンスターが人型のアンデッドモンスターとチームを組んでいる。
ヘルキャリッジとワイトライダー。
カシャとリッチライダー。
アポカリプスバイクとルーインドライダー。
ゴーストラックとファントムドライバー。
(この組み合わせが横一列で俺達を待ってる? なるほど、レースか)
何が始まるのか理解したため、鬼童丸はビヨンドカオスをバイクに変形させてから追加で従魔を召喚する。
「
召喚したベキュロスに【
こうすることで、ビヨンドカオスとベキュロスが鬼童丸を守るようになった。
その時、鬼童丸の耳に中立派の残党らしき悪魔の声が届く。
『レースの準備は良いようだな。3,2,1, START!!』
開始の合図と共に、鬼童丸の視界の端に周辺のエリアマップが表示され、5つのチームによるレースが始まる。
「ビヨンドカオス。他の奴等を【
ビヨンドカオスが道路をつるつるの氷で覆えば、他のチームは派手にスリップしてぶつかり合ったり、ガードレールを乗り越えて横転する。
その隙にビヨンドカオスは先に進むのだが、これで再起不能になるのは一般車両ぐらいだ。
ヘルキャリッジやカシャ、アポカリプスバイク、ゴーストラックならすぐに立て直すだろう。
首位を独走する鬼童丸達だったが、後ろから2位以下のチームの反撃が始まる。
離れた距離からの攻撃ともなれば、魔法系アビリティが多いからビヨンドカオスの【
レースと言えば一般的にはサーキットで行われるものだが、このレースは周回せずただスタートからゴールを目指すのみだ。
魔法系アビリティで足止めできないと判断し、空を飛べるカシャとゴーストラックが2位争いをしながら迫り来る。
「ベキュロス、【
鬼童丸の指示により、ベキュロスが【
そうすることで、滑ってから立ち直った残り2チームが前方の凍えた2チームを攻撃して破壊する。
(事故る奴は
そんなことを思いつつ、もうすぐゴールというところまでやって来た。
こんな簡単に終わってしまって良いのかと疑問に思ったが、その鬼童丸の考えは現実になってしまう。
道路が陥没しており、普通に走っていたらここが行き止まりである。
鬼童丸はビヨンドカオスをヘリコプターに変形させて向こう側に渡り、そのまま向こうに見えるゴールに向かって進む。
後ろにいるチームと距離が離れているから、鬼童丸は危なげなく1位でゴールを通過した。
『ゴォォォル! 優勝は鬼童丸が使役するビヨンドカオス&ベキュロスだぁぁぁぁぁ!』
中立派の残党のアナウンスの直後にシステムメッセージが鬼童丸に届く。
『ビヨンドカオスがLv30からLv36まで成長しました』
『ベキュロスがLv24からLv32まで成長しました』
(ほう、レベルもなかなか上がったじゃん)
アンデッドモンスターのカードは手に入らなかったが、チャレンジクエストの範囲内でそこそこのレベルアップができたから鬼童丸は喜んだ。
2位以下のチームは全然たどり着けず、気づけば消えてしまったようだ。
ゴールしてそのまま先に進むと、多摩センター駅が見えて来た。
多摩センター駅には門番としてアンデッドモンスターが待ち構えており、それはナイトメアミミックと表示された。
宝箱の蓋が開けば、黒いフードを被ってデスサイズを構えた骸骨が中から飛び出している。
「
敵が1体だからターン制の戦闘が始まる。
「アビスドライグは【
アビスドライグとメディーパのアビリティにより、ナイトメアミミックの能力値が落ちて恐慌状態になった。
ここでダメージを与えるしかないので、鬼童丸は残る従魔に攻撃を指示する。
「ビヨンドカオスは【
ビヨンドカオスの攻撃により、緋色の霊が隕石ばりの破壊力で墜落してナイトメアミミックにぶつかった。
ダイダラボッチはその後すぐに大妖刀ゴチェストを振り下ろし、ナイトメアミミックがダウン状態になった。
追撃して残りHPがあと僅かになったところに、ベキュロスの【
『アビスドライグがLv42からLv44まで成長しました』
『ビヨンドカオスがLv36からLv40まで成長しました』
『ダイダラボッチがLv44からLv46まで成長しました』
『ベキュロスがLv32からLv36まで成長しました』
『メディーパがLv24からLv30まで成長しました』
『ナイトメアミミックを1枚手に入れました』
ナイトメアミミックを倒したところで、鬼童丸は従魔達を送還して中立派の残党が何処にいるか候補地を絞り込むことにした。
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