第145話 強ければ生き、弱ければ毟り取られる。これが現実だよお嬢さん
ディーラー役のスッカランも光の粒子になって消えてしまい、その直後に鬼童丸の目にシステムメッセージが届く。
『ドラクールがLv64からLv66まで成長しました』
『アビスドライグがLv1からLv24まで成長しました』
『アビスドライグの【
『リビングフォールンがLv56からLv58まで成長しました』
『ビヨンドカオスがLv16からLv30まで成長しました』
『ビヨンドカオスの【
『ヨモミチボシがLv54からLv56まで成長しました』
『イミテスターがLv50からLv52まで成長しました』
『ミストルーパーがLv50からLv52まで成長しました』
『ダイダラボッチがLv38からLv44まで成長しました』
『ダイダラボッチの【
『ベキュロスがLv1からLv24まで成長しました』
『ベキュロスの【
『メディーパがLv1からLv24まで成長しました』
『メディーパの【
(え? 経験値メチャウマなんだが)
スッカランのカードは手に入らなかったが、その分だけ経験値が上乗せされたため鬼童丸はホクホク顔になった。
上書きされたいずれのアビリティも上位互換であり、今後の戦闘で役立ってくれることだろう。
それを見て宵闇ヤミは嘆く。
「うぅ、鬼童丸に10万ネクロ毟り取られた…」
「いやぁ、強くてごめん。経験値もがっつり貰えてウマウマだったわ」
「弱肉強食にしてもあんまりだよ!」
「強ければ生き、弱ければ毟り取られる。これが現実だよお嬢さん」
「許せねえ! 許せねえよなぁ!」
鬼童丸に煽られて宵闇ヤミはキレる。
コメント欄のヤミんちゅ達はヤミ虐助かる代のスーパーチャットを次々に投稿しており、それが余計に宵闇ヤミをムカつかせる。
「ヤミんちゅ達はヤミを怒らせた」
「落ち着くんだヤミ。次は良いことあるって」
「…じゃあ、幸せのお裾分けということで鬼童丸には頭ナデナデを所望する」
(アリオクの一件では蚊帳の外だったし、ガス抜きは必要か)
おそらく裏で行われるであろう宵闇ヤミとヴァルキリーのマウントバトルのことを考慮すれば、現段階だとヴァルキリーの方が煽る材料は多い。
宵闇ヤミの精神を落ち着かせるためにも、これぐらいの軽いリクエストに応じていた方が良いのではないかと判断し、鬼童丸は宵闇ヤミの頭を優しく撫でる。
「エヘヘ♪」
頭を撫でられただけで気持ちが安らかになってくれるなら、お安い御用と言えよう。
それはさておき、周囲のアンデッドモンスターが消えてしまったことから、現在の坂東市では戦闘ではなくギャンブルでの勝負に勝たないとアンデッドモンスターを倒せないようだ。
今度はドラクールを召喚して【
この移動でビヨンドカオスではなくドラクールに乗ったのは、ビヨンドカオスに乗った時にドラクールの寂しいという感情が自分に流れ込んで来た気がしたからだ。
ドラクールに乗って逆井城跡公園に移動したところ、今度は黒スーツのギャングの見た目をした幽霊が集団で待ち構えていた。
(ゴーギャン。初めて見るけどこいつ等とも普通には戦えないっぽいな)
ドラゴン形態から悪魔形態に戻ったドラクールだが、スッカランと戦った時のように戦闘はできないようになっていた。
ゴーギャンの集団は鬼童丸達に気づくと、首を振って奥に行けと伝えて来る。
従わなければ話が進まないから、鬼童丸達はゴーギャン達が首を振った方向に進んで行って白スーツのギャングの幽霊を見つける。
(ゴーギャストがゴーギャンの親玉か。一体、今度はどんな勝負を挑まれるんだか)
鬼童丸がそんな風に思っていたら、突然ゴーギャストが懐から黒い風船を取り出して手を翳す。
その瞬間、近くにいたゴーギャンが風船の中に吸い込まれていった。
ゴーギャンが吸い込まれたことにより、風船は少し膨らんでいた。
そして、次はお前等の番だと言いたげな視線をゴーギャストが鬼童丸達に向けて来た。
プレイヤーは代わりに従魔を選出し、風船を膨らませるチキンレースに参加させろいうことらしく、鬼童丸の視界には参戦させられる従魔一覧が表示される。
それは鬼童丸だけでなく宵闇ヤミにも表示されていたため、2人はその一覧を見てから自身の従魔を召喚する。
「
「
本来なら、【
ドラクールも鬼童丸がアビスドライグを選んだ理由を理解しているから、しょんぼりしたりせずにいつ何処から奇襲されても良いように周囲を警戒している。
宵闇ヤミはヴィラに出番を与えないと嫉妬されてしまうから、このチキンレースにヴィラを参戦させた。
「アビスドライグ、黒い風船に手を翳せ」
アビスドライグは鬼童丸の指示に従い、黒い風船にその手を翳した。
その結果、アビスドライグが風船に手を翳している時間が長ければ、それだけ多くのゴーギャンが風船の中に吸い込まれていく。
鬼童丸がそこまでとアビスドライグに告げれば、次は宵闇ヤミのターンでヴィラが黒い風船に手を翳す。
「私よりも目立つ全てが妬ましい」
「ちょっと待って。慎重にやって? お願いだから張り合わないで」
ヴィラが妬ましい以外にも喋れるということは、配信のコメント欄を賑やかにさせていた。
ところが、宵闇ヤミはそれどころではないのでゲームに負けられないからヴィラに自分のいうことを聞くよう命令する。
「マスター、ヴァルキリーや他の雌に鬼童丸を取られそうなのに落ち着ける?」
「無理ね」
「それと一緒。私にも譲れないものがある」
「…だったら仕方ない」
ヴィラはアビスドライグよりも多くのゴーギャンを風船に吸い込ませるまで手を離さず、最初は弾丸サイズだった風船が気づけばバスケットボール大まで膨らんでいた。
宵闇ヤミはヴィラの言い分に納得してしまったから、ヴィラのやりたいようにさせることにしたらしい。
その一方、ゴーギャストも見栄っ張りな性格のようで、ヴィラよりも多くのゴーギャンを風船に吸い込ませるまで手を離さなかった。
(嫉妬を司るヴィラと体面を気にするゴーギャストか。このやり合いに巻き込まれるのは非情に危険だな)
鬼童丸はその流れに乗らず、様子を見ながら少しだけ風船を膨らませられれば良いと思っていたのだが、この風船に吸収させるゴーギャンの数は不可逆と決められており、吸収する数を増やすしかない。
「アビスドライグ、頼んだぞ」
託されたアビスドライグが黒い風船に手を翳し、そのサイズが人間1人ぐらい入るサイズまで大きくなった。
そろそろ破裂するかもしれないと不安になる頃合いだが、ヴィラは臆することなくガンガン風船にゴーギャンを吸収させていく。
「栄光は私のもの」
風船は大きめの冷蔵庫がすっぽり入るサイズまで膨らむ。
パンパンになった風船に対し、ゴーギャストはギリギリまで手を翳すつもりのようだったが、既にもういっぱいいっぱいの風船に最後のゴーギャンが吸収された瞬間、風船が破裂した。
衝撃波が生じたが、アビスドライグとヴィラはそれぞれの武器を構えて衝撃波をいなした。
ゴーギャストは衝撃波を一番近い距離で喰らってしまい、そのまま力尽きて消滅した。
『アビスドライグがL24からLv36まで成長しました』
『ゴーギャストを1枚手に入れました』
今回はゴーギャストのカードも手に入ったが、参戦させた従魔がアビスドライグだけだったのでレベルアップしたのは当然ながらアビスドライグだけだった。
(良いペースだ。これで専用武装が手に入れば言うことはないんだけど)
ショップ画面を確認したが、残念ながらアビスドライグだけでなく他の従魔も憂鬱と虚飾の武装は見つからなかった。
ちなみに、専用武装交換チケットはレンタルタワー攻略戦の優勝者と準優勝者にしか渡されなかったため、憂鬱と虚飾の専用武装を手に入れる確率が高いのはこの場において鬼童丸だけだ。
狙っている専用武装が見つからない以上、逆井城跡公園にいても仕方がないから鬼童丸達はアビスドライグとヴィラを送還して次の場所に移動した。
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