第68話 キェェェェェェアァァァァァァシャァベッタァァァァァァァ!
BGMが不安を煽るようなものに変わったが、それは害悪ネクロマンサーの心情を現したもののようだ。
「おい、貴様! 俺様よりも船長しやがって! 船長は俺様1人で良いんだよ!」
そう吠える害悪ネクロマンサーだったけれど、キャプテンカルマが腰に提げていた剣で一瞬にして害悪ネクロマンサーの首を刎ねてしまう。
「マジか」
「うわぁ」
害悪ネクロマンサーを倒す手間が省けたのは間違いないが、それ以上に強いキャプテンカルマを相手にしなくてはいけないから、鬼童丸も宵闇ヤミもなんとも言えない表情になっている。
しかも、地獄の門が閉まる前にキャプテンカルマが傘下らしきスカルパールピアスの大群を呼び出す。
スカルパールピアスとは、スケルトン化して左側にパールのピアスをしたサファギンであり、キャプテンカルマの後ろでおとなしく綺麗に整列している。
「「
自由に動けるようになったため、鬼童丸と宵闇ヤミは今召喚できる従魔全てを召喚して戦闘に挑む。
リビングバルドが【
更にヨモミーナが【
レギマンダーが【
「ちょっと鬼童丸さん! ヤミにも敵を残しといてよ!」
「火力を上げたんだろ? 頑張ってついて来て」
「そんなぁ…」
セットコマンドで必死に戦闘での貢献度を稼ごうとするが、鬼童丸の完成されたセットコマンドには張り合えず後手に回っている。
辛うじてキャプテンカルマのHPを3割程削っていたが、それもドラピールが【
『鬼童丸がLv67からLv69まで成長しました』
『鬼童丸が称号<調布の主>を獲得しました』
『ドラピールがLv72からLv75(MAX)まで成長しました』
『鬼童丸が称号<掃除屋殺し>を保持した状態でドラピールがレベル上限に達したため、ドラピールがドラクールに特殊進化しました』
『ドラクールが【
『アビスライダーがLv1からLv4まで成長しました』
『リビングバルドがLv68からLv72まで成長しました』
『レギマンダーがLv68からLv72まで成長しました』
『フロストヴィークルがLv50からLv60まで成長しました』
『ヨモミーナがLv46からLv58まで成長しました』
『スカルパールピアスを50枚とブラックスカルシップ、キャプテンカルマを1枚ずつ手に入れました』
(相棒、やっと進化か)
システムメッセージを聞き終えた後、鬼童丸が真っ先にチェックし始めたのは進化したドラクールのステータスである。
-----------------------------------------
種族:ドラクール Lv:1/100
-----------------------------------------
HP:6,500/6,500 MP:6,500/6,500
STR:6,600(+500) VIT:6,500
DEX:6,500 AGI:6,500
INT:6,600(+500) LUK:6,500
-----------------------------------------
アビリティ:【
【
【
装備:
備考:なし
-----------------------------------------
(やっぱ相棒しか勝たん)
ドラクールのステータスを確認し終えた鬼童丸は、やはり相棒が一番だという感想を抱いた。
ドラピールの時は竜の角と翼、尻尾を生やしつつも、肌の青白い美人のアンデッドモンスターだったが、ドラクールに進化してより高貴な外見に変化した。
髪の毛が白く染まって黒い2本の角が強調され、白い巫女服と黒い革鎧が合わさったような衣装も高貴さを演出している。
【
専用武装だった怒竜棍ヴラドは
まず、STRとINTを500ずつ上昇させるから、怒竜棍ヴラドよりもSTRとINTを上昇させている。
次に、攻撃によって与えたダメージの10%分だけ敵にダメージが追加されるようになり、これは怒竜棍ヴラドの倍のダメージを追加で与えられるのだから地味に強い。
少しでもダメージを与えたい時にこういった蓄積が馬鹿にならないのだ。
「マジで最初の頃とは比べ物にならないぐらい強くなったもんだ」
「お褒めに預かり光栄です、マスター」
「え?」
「キェェェェェェアァァァァァァシャァベッタァァァァァァァ!」
「宵闇さん、ステイ」
ぽつりと自分の口から出た言葉に対し、ドラクールが喋って応じるものだから鬼童丸は目をぱちくりさせた。
その隣にいる宵闇ヤミがネタに走ったため、犬に言い聞かせるように静まらせてから鬼童丸は再度ドラクールに話しかける。
「ドラクール、お前喋れるのか?」
「勿論です。素晴らしいマスターの実績とお力により、私もマスターのようにお話できるようになりました」
『鬼童丸が日本サーバーのプレイヤーとして初めて喋るアンデッドを使役しました』
『鬼童丸が称号<死の隣人>を獲得しました』
(あっ、ワールドアナウンスはヤバい)
ワールドアナウンスが終わった瞬間、鬼童丸はすぐに全てのフレンドからフレンドコールが来るのを拒否する設定にした。
そうしなければ間違いなく自分にあれこれ質問が来るからである。
「宵闇さん、フレンドコールは来てない?」
「ヤミは鬼童丸さんとコラボする時は基本フレンドコール拒否設定だから問題なし」
(それは極端過ぎでは?)
大事な連絡が入るかもしれないのだから、自分とのコラボ配信中でもそこまでやる必要はないのにと思ったけれど、この時ばかりは鬼童丸もそんな宵闇ヤミのやり方に感謝した。
その時、鬼童丸達のいる場所にファントムホークに乗ってタナトスとヘカテーがやって来た。
「ほう、これは驚いた。いずれ使役できるようになるとは思っていたが、まさかここまで早く喋るだけの知能があるアンデッドモンスターを使役するとはな。鬼童丸、其方は本当に優秀な弟子だよ」
「タナトスにはわかるのか」
「無論だ。私にも喋り相手となる相棒がいるのでな。まあ、その相棒は面倒臭がりで寝坊助なのだが」
(俺がドラクールを使役できるんだから、タナトスが使役できないはずないか。どんな従魔なんだろうか?)
ドラクールとは違うタイプであることは間違いないから、鬼童丸はタナトスが使役する喋る従魔を見てみたいと思った。
それに気がついたのかタナトスは苦笑する。
「今度ちゃんと鬼童丸に紹介するから気長に待っていてくれ。相棒は無理やり起こすと機嫌が悪くて扱いに困るのだ」
「そっか。それなら無理は言えないな。ところで、調布市だったら何処に生存者達が立て籠もってる?」
「東京スタジアムだ。あそこは過去の補強工事で秘密裏に災害に対応できるよう設備が充実しているから、生存者達は東京スタジアムにいる」
「わかった。じゃあ、ちゃっちゃと生き残った調布市民を助けに行って来る」
「それが良い」
ヘカテーも宵闇ヤミとの話は終わったようで、タナトスと一緒にファントムホークに乗って飛んで行った。
鬼童丸はドラクール以外を送還し、ドラクールに【
フロストヴィークルに乗らずにドラゴンになったドラクールに乗ってみたいと思ったから、ドラクールに【
鬼童丸は宵闇ヤミの手を取り、黒角赤眼白竜と呼ぶべきドラクールの背中に乗り、それからドラクールに指示を出す。
「ドラクール、東京スタジアムに向かってくれ。ボスを倒しに行くぞ」
「かしこまりました」
ドラピール時代に抱えられて空を飛んだ時とは違い、鬼童丸はこれが竜騎士の見る光景なのかなんて思いながら東京スタジアムに向けて出発した。
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