第2話

「そこが啓太君の席です」


美弥に案内された席は思った通り主人公様の特等席といえる窓側の1番後ろの席であった。


「案内ありがとうございます」


俺は丁寧に頭を下げる。


すると美弥は笑い


「良いですよ、そんな丁寧にされなくても。なんせお隣さんですからね」


美弥は俺の隣の席を撫でる。


まじですか?腹黒キャラが隣ですか?これから気を遣いながら生活しないといけないのですか?と軽く絶望感しながらも美弥に向かって


「これからよろしくお願いします」


「こちらこそお願いしますね、啓太君」


そう挨拶した後、俺たちは自分の席に座る。


席に座って待っていると美弥が俺の肩をちょんちょんと叩いてきた。


俺は失礼のない様に一回目を瞑り、精神を統一して


「何の用でしょうか?」


「あのー、今日転入してきたばかりだから教科書があるかなぁと思いまして」


俺は鞄の中を探る。だが中は空っぽであった。


えーと、この流れは美弥から借りなくてはいけないのかとまた絶望しながら


「あはは、無いみたいですね」


「やっぱりそうでしたか、では今日は私の教科書を一緒に見ましょうか」


美弥が天使の様な微笑みを浮かべてきた。


良い人アピールかー、計算高いな、やはり警戒をしなくてはなと考えながら


「すみません、ご迷惑をお掛けして、では今日はよろしくお願いします」


「いえいえ、謝る必要は無いですよ。困った時はいつでも頼りにして下さいね」


美弥がまた天使の様な微笑みを浮かべてくる。


大抵の男は騙せそうだなぁ、まあでも俺は騙されないけどそう思いながら


「困った時はそ」


美弥に返事を返そうとした瞬間


ガラガラッダンッ!


教室のドアが開く音が聞こえてきた。


俺は思わず言葉を中断してドアの方を向く。


するとthe体育会系の女子と目が合う。


俺は彼女を眺めながら体育会系の女子かー彼女にするならあの子かな、ああいう系はチョロインと相場が決まっているからなぁとこれからの事を考えていると彼女が俺の方に向かってきて


「君が男の転校生かー、なんか新鮮だー」


そう言って体育会系は俺をジロジロ見てきた。








  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る