【番外編③】お…奥様、怒ってらっしゃるんですけど
(ここからは春ちゃん目線でお送り致します)
「(ひぇぇ~)」
としか言いようがなかった。
目の前の絶世美少女?の能面のごとき不機嫌顔…そんなの恐怖しか沸いてこない!
「(み…みっくん、お…奥様怒ってらっしゃるの!?)」
三月「(当たり前だ!旦那が会社の新人に『処女を捧げます』とか言われて、怒らない嫁さんなんかいないだろう?)」
「(なんで、んなことまで話しちゃうかなあ!)」
沙織「…そこ!内緒話は止めなさい!」
はいい~っ!
「え…え~と、みっくん?」
沙織「みっくん!?みっくんって何!?」
「はいぃっ!間違えましたっ!か…かかか桂木課長っ、おおお奥様お若いですね!わ…私と同い年くらい」
沙織「…もうずいぶん前に三十路入りしてるわよ!悪かったわね!!」
「ぜ…ぜぜぜ全然悪く無いですう~」
怖い~怖いよう~。
すんごい若く見えるから、あたしより若いと思ったのに~(涙)。
三月「…沙織、そろそろ許してやってよ。お前面白がってるだけだろう?」
沙織「…そうね。やり過ぎちゃったかな?」
…へ?
沙織「竹村 春さんでしたっけ?ごめんなさいね。社会人デビューおめでとう。今後とも主人を宜しくお願いします」
「…」
三月「…春ちゃん?」
「…こ」
「「?」」
「…怖かったよ~(涙)」
沙織「…あらあら」
何なの~沙織さんの雰囲気の変化。
そこにいるのは先ほどまでとは真逆な、人懐っこい笑顔の優しいお姉さんでした。
三月「春ちゃん、悪いが俺にはこいつ相手に隠し事を貫き通せる気がしない。処女を捧げる話は諦めてくれ」
「わ…わ…私も身が持ちませ~ん(涙)」
沙織「春さん?こんな人で初体験なんかやった日にはあなた人生が終わってしまうわよ?」
三月「…んな大袈裟な」
沙織「…何言ってんのよ。みっちゃん食らった後、道を踏み外して未だに独身な特A級の美女をあたしでさえ二人も知ってるのよ?本当は何人いるのやら…」
…みっくん、そんなに凄いの?
知りたいような近寄りたく無いような…
三月「沙織…処女なんかこっちが嫌だ。実入りが少な過ぎる」
沙織「…みっちゃん、言いかたっ!」
お…乙女の決意に対してなんちゅう言い草だっ!
やっぱり止め止めっ!!
―
―
―
三月「俺は春ちゃんを車で家に送っていく。彼女の母親は俺の大学の先輩でね。仁義は切っておきたいんだ」
沙織「そういうことならあたしも行くわ」
三月「身重のお前に車はおすすめし難いんだかな」
沙織「妊娠5ヶ月は過ぎたわ。大丈夫」
三月「じゃ一緒に行くか。鈴先輩を紹介するよ」
沙織「うんっ!」
みっくんの家、夫婦仲が良いな…あたしは何を見せつけられているのだろうか…。
「(…うらやましいな…)」
この言葉は…声にして外に出すことが…出来なかったんだ。
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