第20話 社内旅行…で入院

社内旅行は、みつきの救急搬送で幕を閉じた。

…ハチャメチャな社内旅行は、最後に「幹事を胴上げしよう!」という恐るべき話となり…それを旅館のエントランスでやっちゃうから…若くて一番手にされた俺は天井に激突して頭から流血して病院送り。

旅館からは、損害賠償とわが社の「永久出入り禁止」のヲチが着いた。

※1980年代のぼぼ実話のある話である。


病院への付き添いを申し出た鉄面姫きょうこちゃんは、何故か俺の耳元で「ヘタレ・インポ・ジゴロ…どエス!!」と囁き続けていた。


(ここからはまたまた京子目線でお送り致します)


「…ヘタレ」

三月「まだ言うのかっ!本当に勘弁してくれよっ!」

「…これ、うちのママから差し入れ」


ところは先輩の入院先、救急搬送された先輩は、頭の流血具合もさることながら、したたかに頭を打っているとのことで、しばらく検査入院することになっていた。

信じられないことに、会社は労災扱いで手厚く対応するとのことで…先輩は個室に入院中である。


「…で?さっきの明るい茶髪の大学生は誰なのよ!?」

三月「それってお前に何か関係あるのか?」

「…あの夜、あそこまであたしを弄んでおいてそういう態度なの?」

三月「見解の相違だな!?結局最後までは手を出してないだろうが」

「そうですね、このヘタレが。でも人を指で失神まで追い込んだ時点でどうなんですかね」

三月「…」

「し…しかも、さんざん頭がおかしくなりそうな睦言を人に強要して、さんざんあたしを弄んで!!」


コンコン…


五月「こんにちは~お兄、京子さん!お兄、着替え持ってきたよ~あれ?何か修羅場?」

三月「修羅場なもんか!俺は彼氏持ちの女の子には手は出さないの!」

「(どの口が…)」

五月「あっそ、時に『南ちゃん』が来たでしょ?」

三月「…ああ」

五月「まだ冷たく追い返したの?」

三月「いや、今回はちゃんと話した」

五月「そっか…良かった」


ふ~ん、『南ちゃんね』…


「五月ちゃん…ちょ~っとお話ししよ~」

三月「待てっ!京子ちゃん…何を話す気だ!さ…五月っ、頼むから余計なことは!」

「はいはい先輩はゆっくり養生してね~」


せんぱいを射んと欲すればまずさつきちゃんを…ってね。


(病棟喫茶店にて)

五月「あたしの親友の高倉 南ちゃんで~す」

南「こんにちは綺麗なおねーさん!今後ともよろしくお願いしま~す」

「(ひ…ひょえ~)」

ゆ…油断した~。こ…このさつきちゃんはなんで…下手したらあたし以上の重症ヲタのくせにこんな…陽キャみたいな…

ま…また隣にいるこのみなみちゃんの、陽キャ光の眩しいこと眩しいこと…

肩甲骨あたりで揃えた明るいすべすべ茶髪、整った容姿に大きな可愛い瞳。そして胸は…五月ちゃんと同じくメリハリの効いた…非の打ち所の無い…



そ…そりゃさ、このみなみちゃんのことを聞きたくて声を掛けたんだけどさ。

まさか、ノッケから紹介されちゃうなんて。

現役非ヲタ美少女大学生の陽キャ光なんて、あたしに耐えられる訳がっ!

五月「…南ちゃんはこっちの人ですからね」

う…嘘だあっ!


南「五月さっちゃ~ん。あたしも疑問!あたし流行りの漫画もアニメも見ないのになんでヲタ扱いされてるの?」

五月「…同人誌はまってるじゃん。コスプレやってるじゃん…」

南「…それでヲタになっちゃうの!?」

五月「そうだよ~結構、重症扱い(笑)」

南「…全部…さっちゃんのせいじゃん!」


※後に南ちゃんのようなヲタ生態は、「レイヤー」という区分にて重症認定されるようになりますが…この頃は名前が無かったですねっ!


五月「そう言えば京子さん、南ちゃんに聞きたいことがあるんじゃないの~?」

南「…なんですか?綺麗なおねーさん」


…そう言えばそうだった…こほん!


「み…南さん…あなた…さっき病室で…先輩にフ⚪ラしてなかった?」






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