第15話 兄妹でラブホ入ってど~すんのっ!?
京子ちゃんの家の駐車場には、前回の訪問時には無かった白いクラウンが停まっていた。
京子「…げっ!」
「ねえ…この車…誰の?」
京子「…分かって言ってますよね。パパのだよ…」
「…そうだよね~それじゃあねっ!」
京子「待って!先輩、待って!!」
「…と…止めるな!彼女の父親だって会いたくないのに何で会社のオタ友の父親にっ!?」
※1980~1990年代の一部の地域では、俗に言う「娘の父親」ってやつは今ほど理知的では…はっきり言えば理不尽の塊だった。
?「何をバタバタやっているのかね?」
「…」
京子「ぱ…パパ、ただいま…」
?「お帰り京子。…で?その男は誰なんだい?」
…終わった…望んでもいない理不尽な夜がはじまる。
―
―
京子母「粗茶でございます」
「…何言ってんすか?おかーさん」
何か前回とは全く違う楚々とした雰囲気の、京子ちゃんと同じ顔をした女性がいた。
視線が「余計なことしゃべったら殺すぞ」と訴え掛けてくる。
…そっか~この人も隠れ蓑付きオタクだったのか…京レの『隠れ
京子父「…それで、私の妻を『おかーさん』呼ばわりする君は何者なんだね?」
「…さっきから、京子さんの会社の同僚だと説明してますよね?」
京子父「…嘘はいかんよ、君。百歩譲って同僚なのだとしても…それ以外の…プライベートな関係を知りたいのだよ」
「…それもさっきから、ヨット部からの帰りに送ってきてついでに届けものしただけって言ってますよね」
京「ふむ、言葉としては理解した。だが感情が全く理解してくれんのだよ」
面倒くさっ!!
「すみません…仮にですよ?百歩譲って仮に私が京子さんの彼氏だとしたら…」
京子父「馬脚をあらわしやがったな!このガキゃ~殺してやるっ!!」
―
―
京子父「いたいいたいいたい」
「頼みます!仮定の話で激昂しないで!」
…今日ほど武術を習っていて良かっと思った日は無かったかも。
親父さんの攻撃を何とかいなした俺。
「だいたいですね!京子さんには高校時代から漫画家の…いたいいたいいたい!」
京子「…先輩、何を言っているのかな~」
お…おもいっきり横腹をツネられた…いたいいたいいたいっての!
京子「…パパ、あたしは誰とも付き合っていないから」
京子父「ふむ」
京子「…無垢なままだから」
京子父「うむ」
京子「処女だから!」
「…どの口が…いたいいたいいたいいたいよ~」
京子父「…で?その男は誰なんだい?」
…振り出しに戻った~
―
―
「…仕方がない…そこまでおっしゃるなら話しましょう…真実をっ!…いたいいたいいたい話す前からツネんな~」
京子父「…うかがおうか…その…真実とやらを!」
…分かった、京子ちゃんのお父さんの話し方って…素で
おかーさんがシャアに熱くなるわけだ。
「私の真実は…これですっ!」
五月「…へ?」
「私の恋人の五月ですっ」
五月「…何言ってんのお兄?」
「…ヴィトンのバッグ」
五月「…らじゃ」
京子父「…し、しかし、先ほどから彼女は君を『お兄』と」
五月「世を忍ぶ仮の姿は兄妹、しかしてその実体は…義理にして…」
京子父「…確かに顔が全く似ていないな、理解出来る」
…うるさいわ!ほっとけ!!
京子母「そう!五月さんは義理の妹にして、禁断の恋人なのね!!…萌えるわっ!!」
「…」
京子「…」
五月「…」
京子父「…お前…何を」
京子母「…と言う
京子父「…なんだお前そんなものにはまってるんだ。仕方がないやつだな~」
京子母「ごめんね~」
…俺たちは何を見せつけられているのだろう…
京子「…先輩、まさか…本当に…キモっ!!」
「…」
京子ちゃんの侮蔑の視線が痛い…何で俺がこんな目に…
京子父「うん!その表情!!いいね!桂木くん、良く分かったよ!さあ!今日は飲み明かそう。会社での京子のことを教えてくれたまえ」
「…」
疑いが晴れたとばかりの親父さんの満面の笑み。
五月「…すみません…兄も最近忙しくて、デート久しぶりなのです。出来れば今日はこのまま…」
京子父「おお!そうだね。若い二人を邪魔してはいけないな。桂木くん良ければまた訪ねてきてくれたまえ。何時でも歓迎するよ。なあ?母さん」
京子母「本当にすぐ…来てくださいね?」
「…」
おかーさんの顔に『アニメさっさと観せろ!』と書いてあったが…無視して…俺と五月は車中の人になった。
―
―
―
「…感謝」
五月「…ヴィトン」
「…らじゃ」
まあ、五月のお陰で無事退出出来たようなもんだ。
五月「…それと」
「…ん?」
五月「…今日は」
「…へ」
五月「…そこに…入って…」
「…」
…入った先は…ラブホだった。
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