第13話 どんなに疲れてもビデオ鑑賞会はある
(過去の某逗子マリーナの一室にて)
愛子「ギター本当にうまいね~、羨ましいな~」
「安永先輩もギターを?」
愛子「う~ん、飾ってるに近い(笑)」
「そうなんすか」
愛子「だって…うまく音が出ないんだもん。特にFとかBmとか…」
(画像)
https://kakuyomu.jp/users/kansou001/news/16818093083824119477
あれは、ヨット部に入ってしばらくして…⚪島建設ヨット部との合同合宿で、初めて会社所有の逗子マリーナの一室に泊まった際だったな。
普段は軽装にしてバイクでヨット部に参加していたんだけど、その時は学生時代にバンドをやっていたことが長谷川先輩にばれてしまって、仕方なくシビックにギター乗っけて…渋滞して大変だった。
夜の飲み会、俺は一度聞いた曲なら即興で演奏して歌えたから…みんなのリクエストに答えながら流しと言うかBGMに徹していたんだ。
まあ、そのうちみんなグループで好き勝手にしゃべり出したから、俺は少し離れたベッドで好き勝手に弾いていて…そんな俺に愛子先輩が話し掛けてきたんだ。
愛子「ねえ…あの赤い
今考えると…あれが愛子先輩との最初のドライブだったな…多摩センターは遠かったけど。
―
―
―
(ここからは、またまた京子ちゃんが和田長浜の海岸からお送り致します。「周囲が闇色に染まっている」という京子ちゃんと夏美先輩の浜辺のパラソルに近づいていく剛の者が)
竹村「
「竹村さん、うざいですくさいです目障りです近寄らないでください!!」
竹村「…お前本当に人の心をへし折る辛辣なやっちゃな!俺が何をしたって言うんだ!?」
夏美「…竹村さん、大丈夫です。あなただけじゃないです。この子話し掛けてくる男にはだいたいこんな感じですから」
夏美先輩が隣で楽しそうだ。しかしっ!竹村さんには少し恨みごともあるっ!
「…支店と本社に…あたしが桂木先輩と付き合ってるかも情報流しましたよね。先輩の宿泊情報使って」
竹村「お前もノッてたじゃんか!手込めにされたとかなんとか」
「…まさか、本社にまで流れてるとは思いませんでした!」
夏美「ああ!あれはあたしが情報拡散を竹村さんに頼んだんだ。飲み会の領収書一枚処理する条件で」
「はあっ!?」
竹村「…仕方ないだろ…川藤はやたら清廉で不明領収書を通してくれないんだもん」
「な…夏美先輩!なんでそんなことを…」
夏美「ん~、ちょっと恩返し的な意味合いもあって…可愛い後輩の長い春に少し楔を入れてやろうかと」
そういって夏美先輩は、クイッと海の上を示す。
和田長浜の海の上のヨットの中に…一挺のトッパー…桂木先輩と愛子先輩を乗せた。
夏美「一通り落ち着いた今頃の時間には見慣れた光景ですよね?竹村さん」
竹村「愛子のやつ、しこたま缶ビールをがめて乗ってるんだよなあ。全部飲みきるまで帰ってこないんだよ」
夏美「ほとんど愛子ちゃんが飲んでるところが凄いですよね」
若干西日になりかけた日の光の中…何かしゃくだけど絵になる二人がヨットの上…
「あの…楔って?」
夏美「だってさ、あの二人…二年以上もあんな感じで付かず離れずなんだよ?いい加減…ねえ」
「いや…何かあたし関係あります?」
夏美「まあ!この子ったら…自覚が無いわあ」
なんなんだ?自覚ったって何も思いつかん!
竹村「お前…顔面偏差値だけは、本社と横浜支店合わせてカーストトップだって分かってる?」
「…顔面偏差値だけは…ってどういう意味ですかっ」
竹村「…いや…性格も良いとは…とても」
夏美「…あなたはね…良くも悪くも影響力があるの。だからさすがの愛子ちゃんもあの情報は無視出来ないんじゃないかな?その上、わざわざヨット部に三月くん自らあなたを連れてきちゃったら…ねえ?」
「良くも悪くもって…どうせ珍獣ですよっ!」
竹村「今日は二人の距離がかなり近いな。まあ半分口喧嘩だろうけど」
確かに…トッパーの上の桂木先輩と愛子先輩は…恋人同士に見えなくも…どうだろ。
先輩そろそろ戻ってきてくれないかな。帰りたいんだけど。
田村「夏美さ~ん」
「田村さん、うざいですくさいです目障り…もがっ!!」
夏美「京子ちゃん、シャラップ!!」
夏美先輩が恋人(?)の田村先輩に呼ばれて離れていったので、あたしは竹村さんと二人きりになった。
「…ねえ、竹村さん。桂木先輩と愛子先輩って仲良いんですね」
竹村「…あれで付き合って無いってんだから…不思議だよなあ」
「…桂木先輩は…ご存じなんですか?」
竹村「…」
それは…横浜支店内では、信憑性のある噂として、コミュ厨のあたしでさえ知っている話。
「…竹村さんと…」
竹村「…」
弘美「あっ!京子ちゃ~ん、お願い!そばにいて~」
いきなり弘美先輩と…長谷川先輩?
長谷川「ひ…弘美ちゃん!」
「長谷川先輩、うざいですくさいです目障りです近寄らないでくださ…」
竹村「川藤…お前反射的に言ってるだろ。本当に性格悪いな…」
―
―
―
時間はだいたい17時、あたしと桂木先輩はヨット部の面々に惜しまれなから(?)和田長浜を離れて車の中。
三月「あ~疲れた…」
「…」
三月「これから…ビデオ鑑賞会か…」
「…」
三月「田村がいなかったら、夏美先輩も誘えたんだけどなあ…」
「…」
桂木先輩と愛子先輩は…あの後もなかなか戻って来なかった。浜でトッパーを一緒に引っ張る二人は…確かに恋人同士にしか見えなくて…
まああたしには関係無いんだけどさっ!
三月「なあ…つかぬことを聞くけどさ」
「何かね三月どん」
三月「何だそのノリ…いや、お前のかーちゃん…ガチだよな…」
「うん」
三月「推しはシャア…だよな」
「うん…クワトロ大尉も大好きな不思議ちゃん」
三月「うわ~」
「ZガンダムのVHF…相当楽しみにしてるね。がちで」
三月「なあ、お前の家の前に…戸塚駅に寄って良いか」
「良いけど…何?」
三月「いや、たまたまこっちで遊んでるから…助っ人頼んでたんだ…超ファーストガンダムオタクの女」
「へ~珍しい!って…誰?」
三月「つまり…俺の
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