第9話 フルボッコにしたら…フルボッコにされた話

(画像)春ちゃん!

https://kakuyomu.jp/users/kansou001/news/16818093083663666398


春「うわ~ん、みっくんのバカー!!」

春ちゃん大泣き。ストⅡの対戦成績は、俺の七勝三敗。


五勝勝ち抜けで始めた対戦。

最初のうちこそ、ザンギエフの間合いが掴めなくて一勝三敗までやられたが、そこから四連勝。

「あともう一回!」を二回やったところで、春ちゃんの心が折れた。


ザンギエフの恐るべき「立ちスクリュー」からの「スクリューハメ」は、本当にえげつない勝ちかたになる。

なんせギリギリまでライフが削られていようとも、技が始まっちゃえば相手はなす術も無く轟沈。

春麗の「空中吸い込み投げ」からの「小キック+投げハメ」と一緒。


竹村「春の敵は俺が取る。勝負だ三月!!」

「…誰使うんすか?」

竹村「ガイル一択だ!」

「…じゃあ、俺、春麗で良いですね」

竹村「…え」

「ガイル相手ならザンギエフより春麗のほうが圧倒的に不利。文句無いっすよね」

竹村「い…いや…お前の春麗は鬼畜…」

「良いっすねっ!」



竹村「うわ~『ムーンサルト』が吸い込まれた~」


甘いっすよ竹村さん。待たないガイルなんか、単なる的!!


竹村「どひゃ~」

春「もういやあ~」


とある親娘の悲鳴が響き続けた。



鈴「あら…三月くん、どこ行くの?」

「いや…帰ろうかと…幸いまだ10時半なんで」

竹村「こら!三月、勝ち逃げするな!こっちの打ち合わせが終わるまで待ってろ!」

春「そうだそうだあ!」

鈴「…と、言うことなんだけど?」

「はは…はあ~」


竹村さんの奥様、鈴さんは、実は俺の大学の先輩。

染めたこと無いんじゃないのって感じの漆黒の髪を軽く後ろでまとめた…清楚を絵に描いたようなスレンダー美人。

竹村さんと鈴先輩は大学の垣根を越えた大恋愛の末、学生結婚で春ちゃんを設けた。


鈴「もう…少し手加減すれば良いんじゃないの?」

「いや~竹村さんならそれで良いのですが、春ちゃんにはばればれになっちゃうので…」

鈴「そうなの?」

「春ちゃんは確かに強いんですよ。ただザンギエフとか春麗とかだと負ける瞬間はズタボロ負けになっちゃうので…結局泣かしてしまうんですよね」



鈴「ふふ」

「?」

鈴「…いいえ、親子で楽しそうにやってるなあ、と思って」


テレビの前で、竹村さんと春ちゃんが、あ~でもないこ~でもないと、俺の春麗対策を講じている。


「…このまま、逃げちゃって良くないですか?」

鈴「駄目でしょ?」



竹村「ところで三月、お前、大学生のときに中学生の女の子を手篭めにしたって本当か?」

「ぶ~~~っ!」


とうとう不貞腐れて寝ちゃった春ちゃんを尻目に、鈴先輩がビールと軽いおつまみを出してきた。


鈴「あら!三月くんはロリコンだったの!?」

「待って待って!!」

竹村「そうなんだよ、春も危ない…」

「小学生に手を出す趣味は無いっすから!」

鈴「本当かなあ!?」


本当だよっ!そもそも中学時代の俺の彼女は突出して大人びてたんだから!


竹村「彼女の写真いつも持ってるんだろ?見せろよ」

「…」

どっちだ。そこまで知ってるのは、夏美先輩と愛子先輩しかいない…どっちが竹村さんにゲロってんだ!?

(画像)実乃里ちゃん15才

https://kakuyomu.jp/users/kansou001/news/16818093081998763804


鈴「あら…凄い大人っぽい…信じられないような美少女ね」

「でしょ?大人びてるでしょ?俺ロリコンじゃないっす」

竹村「でも中学生は中学生だろうが」

「貰ったのは中三のクリスマス…ほとんど高校生っす」

鈴「いや…そんな胸張って言われても…どっちにしても犯罪じゃないの?」

「…それじゃあ俺、何にも弁明出来ないっす!」

竹村「このロリコンがっ!」

鈴「女の敵ね」


「何すかこれ…いじめなんすか~」



竹村「しっかし、川藤きょうこちゃんは鬼の霍乱だなあ。あいつ体調崩すのなんて初めてだったな」

「…」

竹村「お前、昨日、二人で現場回ってたよな?あいつ調子悪そうだった?」

「…二日酔い」

竹村「…は?」


「…横須賀の駅前の…沖縄料理のお店…知ってますよね」

竹村「…ああ、結構珍しい料理とお酒が出る…まさか…泡盛?」

「…俺は止めたっすよ?」


あの夜、三笠記念公園で夜景を見ていた俺たちだったが、京子ちゃんの愚痴があんまり止まらなかったので…場所を変えたのが運のつき。

(…当時は沖縄料理も泡盛も珍しかったんす)


食べたことの無い沖縄料理に目を輝かせているうちは良かったんだけど、お隣のテーブルの泡盛のグラスを「凄い透明で綺麗なお酒…」とか言い出しちゃって。


「…ほんとに止めたんすよ。これは本当に凶悪なお酒だからって…案の定一杯半で轟沈しました」

竹村「…まさかお前、そのまま…やっちゃったんか?」

「…それまでの話題、ず~っと彼氏の愚痴だったんすよ。そんな女に手なんか出すもんですか。面倒臭い」

鈴「…別に奪っちゃえば良かったんじゃないの?川藤さん凄い美少女なんでしょ?」

「…会社の後輩にそれやったら…もれなく伴侶と将来確定コースですよね」


動かなくなっちゃったあいつを家に連れていって、お母さんに状況説明するの…本当大変だったんだから。


竹村「鈴、それは無理だよ。こいつヘタレだし」

鈴「そうね、ロリコンみたいだし」



「…すみません、一宿一飯の恩義は感じてますが…そこまで言うこと無いんじゃないですかあ(涙)」



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