エピソード十二 御孫様による独白
『帰ってから、上司に提出する報告書の作成も行わなければいけませんから。帝国の君主であらせられる皇帝陛下の直轄領の統治を任されている御代官様の下で働く
御孫様が闇夜を遠ざかる
『逃亡した若い男女の農奴は、恋人同士だったのかも知れませんね』
御孫様は表情の変化が少ない御方ですが、人相書きを眺める
『周囲に迷惑を掛けて、自分達の命も危険に晒してまで、恋人同士で逃げ出すという感情が私には理解不能です』
御孫様はそう仰せになられますと、
『猟犬による追跡から逃れる為に、不案内な土地で夜に川に入るなど自殺行為です。若い男女による恋愛感情とは、そこまで愚かな行動を起こす原動力となるのでしょうか?』
自分は御孫様とは同い年の幼馴染みですが、物心がついた時からの経験により、こうした時の御孫様は返事を求めていられるのでは無く、御自身の考えを纏める為の
『先程まで読んでいた本は、
御孫様は僅かな苛立ちを感じさせる口調による
『遅くなっては貴方の家族が心配をしますね。付き合ってくれて感謝をしています』
自分に向けられた言葉を発せられた御孫様に対して、同い年の幼馴染みでもある奴隷身分の農奴として、恭しく深々と御辞儀を行いますと。
『身に余る勿体ない御言葉で御座います。御孫様』
御孫様は身の程を
『貴方という同い年の幼馴染みが居る私は、非常に幸運だと思います』
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