エピソード十一 隣接する土地の担当者との良好な関係
『クゥウウウーーンッ…』
『猟犬が逃亡した男女の農奴の匂いを追えるのはここまでのようですね。
『はい。御令息様。仰せの通りで御座います』
今夜は御爺様であらせられる地主様が出掛けていられて御不在ですので、御孫様が代わりに逃亡した奴隷身分の農奴の男女を捜索されている
「サァアアアッ」
『クゥウウウーーンッ…』
『この川は水浴びする際には飛び込むと全身が浸かる程の深さがありますから、川の中に入り匂いを誤魔化そうとした逃亡した農奴は、下流に流された可能性もあります』
宿舎の
『月明かりがあるとはいえ不案内な土地で夜に川に入れば、御令息様の仰られる通りに深みに足を取られて下流に流された可能性は確かに御座います。御令息様』
御孫様が出現させていられる根元魔法の
『御手を煩わせまして、心底よりの御礼を申し上げます。御令息様』
逃亡した男女の農奴に対するこれ以上の追跡は断念すると伝えた
『人相書きは預かります。明朝の
最後まで協力的な姿勢を示された御孫様に対して、
『有難う御座います御令息様。御代官様にも御協力を頂いた
自分のような奴隷身分の農奴でしたら、指示された通りに働けば済みますが。御爺様であらせられる地主様が御不在の際には、代行を勤められる御孫様は、隣接する土地の担当者との良好な関係を維持する役割も果たさなければいけませんから。本当に大変だと思います。
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