エピソード十 番犬と猟犬
『私にも見えるようにして下さい』
『はい。御孫様』「ピラッ」
長椅子に腰掛けられながら見えない壁の中に居られる御孫様にも人相書きが見えるように、
『年齢的には、私達よりも少しだけ年上に見えますね?』
自分と同い年の十三歳の中性的な美貌の持ち主であらせられる御孫様が、御爺様であらせられる地主様から受け継がれた
『はい。御令息様。男女共に十五歳の奴隷身分の農奴となります』
御孫様は御自身や同い年の幼馴染みでもある自分よりも、二歳年上の奴隷身分の農奴の男女が逃亡したと確認されますと、もう一度人相書きを眺められまして。
『鉛筆で書いた人相書きでは色までは解りませんが、彼と同じく
細かく質問される御孫様に対して、逃亡した男女の農奴を真剣に探す意志があると感じたらしい
『はい。御令息様。仰せの通りで御座います』
『本日は彼と一緒に過ごしましたが、私も人相書きにある男女の逃亡奴隷は見掛けてはいません。こちらに逃げて来たのは確かなのですか?』
捜索に対して協力的だと感じたらしい
『夕飯の後の点呼の後は、農奴が宿舎から外に出るのは禁じているのですが。番犬が激しく吠えたので宿舎を調べますと、十五歳の男女二名の姿が見えなくなっていましたので、
御孫様が出現させていられる根元魔法の
『貴方は非常に優秀ですね
御孫様の仰られる通りです。御代官様に御仕えされている
『勿体ない御言葉で御座います。御令息様』
御孫様は基本的に表情の変化が少ない御方ですが、
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