エピソード四 御屋敷での営み火

『夕暮れ時に夕餉ゆうげの支度をしている屋敷でのいとなみの火を目にしますと、一日の仕事を終えて帰宅したという安心感を覚えます』


が西の地平線に沈み、完全に暗くなる直前に御屋敷に着いた御孫様の感想に対して、自分も心から賛同をしまして。


『はい。御孫様。同感です』


自分は御孫様と同い年という事もあり、身分の違いはあれど幼い頃から共に過ごして来ましたので、ある程度はお互いの気持ちを理解出来ると考えています。


『水浴びしたときに着替えた服や下着を、洗濯係に渡さないといけませんね』


御孫様の御爺様であらせられる地主様は、林檎アプフェルの果樹園を経営されていますが。他にも養蜂業や蜂蜜酒メートの醸造所も経営されていますので、御屋敷には数多くの奴隷身分の所有物が一緒に暮らしています。


『あ、あの、御孫様。洗濯物でしたら私達が渡して来ます』『ベーアヴォルフに襲われないように、御屋敷まで御一緒して頂けましたから。それくらいはさせて下さい』


御屋敷に帰る途中で一緒になった奴隷身分の農奴の女性達の言葉に対して、御孫様は優しく微笑まれながら頷かれますと。


『それではお願いします』


ポウッ。


御爺様であらせられる地主様と同じく、金髪ブロンデス・ハール瑠璃之青アツーア・ブラオの瞳をされていられる、中性的な絶世の美貌の持ち主であらせられる御孫様の笑顔を見た農奴の女性達は。褐色ブルネットの肌色の頬を、再び赤く染めていました。

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