エピソード三 夕闇の薄暗さの中でも見て取れる変化

『ガサガサッ』


「シャキンッ」


川での水浴びを終えて御孫様と共に地主様の御屋敷に戻る途中で、夕闇の迫る薄暗い畦道あぜみちの横の草叢くさむらが揺れて音がしたので。野生の獣であるベーアヴォルフを警戒して、除草作業に用いたなたを抜いて構えますと。


『大丈夫ですよ』


御孫様は一切警戒した様子を見せずに、薄暗い草叢くさむら瑠璃之青アツーア・ブラオの瞳の視線を向けられまして。


『お疲れ様でした。貴女達は少し離れた場所で、仕事を終えた後の水浴びをしていたようですね』


御孫様の声を聞いて草叢くさむらから姿を現したのは、自分と同じく地主様の下で働く奴隷身分の農奴の女性達でした。


『あ、有難う御座います。御孫様』『御孫様も御疲れ様でした』


金髪ブロンデス・ハール瑠璃之青アツーア・ブラオの瞳をされている、中性的な美貌の持ち主であらせられる御孫様は。自分と同じ奴隷身分の農奴の女性達に対して、優しく微笑みながら頷かれまして。


『暗くなって来ましたから、一緒に帰りましょう』


ポウッ。


地主様と御孫様は純白アラバスター・ヴァイスな肌色をされていますが、奴隷身分である農奴の自分達は男女の性別を問わずに、黒髪シュヴァルツ褐色ブルネットの肌色をしていますが。夕闇の薄暗さの中でも、農奴の女性達が頬を赤く染めたのが見て取れました。


『は、はい。御孫様』『あ、有難う御座います。御孫様』

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