Ep 精霊
第1話 3人の冒険者
わたしとノアールは、ラサンティスと言う村へ向かうべく街道を歩いていた。
この街道は最近手を加えられたようで、凸凹が少ないて歩きやすい。昨日までの雨で
ラサンティスの村へ向かう途中で3人の冒険者と出会った。彼らは、他の街のギルドに登録した冒険者だが「ラサンティス村が大変なことになっている」からと、わざわざ派遣されて来たと言う。
「ラサンティスの村では、村人が魔物に襲われる事件が起こってる。その魔物討伐の仕事で、俺たちも向かってるのさ」
そう言う噂があるのは知っている。しかし、胡散臭い筋からの情報だったので信用していなかった。しかし、ここでもう一度同じ話を聞くことになる。
「今、オレたちが歩いてるこの街道が整備されて、ラサンティスの村が交易の中継地点にちょうどいい場所なんだよ。商人の中で目端の利く連中や近隣の領主が、村に恩を売るつもりで他の街のギルドに金を出して仕事として依頼したんだ」
3人の冒険者は、剣使い2人と弓使い1人。そして後2人の裏方役のいる5人組だと言う。その裏方2人は、先にラサンティス村へ先乗りして用意を調えているそうだ。
剣使いの1人が「リーダーのカイル」と名乗った。意匠を凝らした黒の革鎧を着て、ロングソードを腰に吊り下げている。ロングソードが通常のものより、少し短めだ。取り回しを重視した工夫で、実戦慣れした感じを受けた。
これまで3人とも、冒険者としてはバラバラに活動してきたので、パーティとして仕事をするのはこれが初めてだとか。
「かなり凶悪で強力な魔物らしくてな。少人数では危険だから、ある程度の人数のパーティでないと仕事を依頼できないと言うことだったんだ」
付け焼き刃のパーティで、強力な魔物を相手にする方が危険な気もするが……依頼する方は数が多い方が安心できると言うことか。
「アンタら2人は、ラサンティスの村へ何の用事があるんだ?」
自称・リーダーのカイルと名乗った男が、わたしの側に来て尋ねてきた。
「この先の森の
お行儀の悪い自称・冒険者とのトラブルで、小屋を少しばかり壊してしまったからな。このままだと雨宿りの恩を仇で返すことになって申し訳ない。
「ふーん」
自分から問いかけておいての生返事。カイルは、わたしの肩越しにノアールを見ていた。見ていた、と言うより「眼が釘付け」になったと言うべきだな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます