第2話
相席になったものの。
さて愚痴ってもいいものか。そういう空気じゃなかったら最悪じゃねーか。
「お兄さんって何歳くらいなんです?よくここ来るんです?」
「俺は22ですね。この手のに来るのは初めてです」
「あ、そうなんですねぇ〜、うちも22なんですよ。初めてってことはなんかあった感じです?仕事とか」
うーんズバズバ来るな。でも話しやすいし楽だな。
「まぁ、そうですねぇ。仕事じゃなくってプライベートなんですけど」
「はは〜ん?さては彼女ですな?」
「え、なんで分かるんですか」
「そりゃねぇ…私もちょっと彼氏と色々あってここ来たもん…」
「あー…。お互い大変ですね…」
もしかしなくても野良猫の傷の舐め合い状態になってないですか?
この店の人事情把握してんの?
「彼女さんと何があったんですか?」
「いやもう…聞いてくださいよ。付き合ってた彼女と同棲してたんですけど、なんか急に別れて欲しいって言われて内容聞いてみたら別に好きな人が出来ただの明日にゃ出てくだの…もう顔も見たくないから家出てきた感じですね」
「いや…おぉう…結構ハードだねぇ…。その彼女も色々やばくない?まぁ見ず知らずのうちみたいなのが言うのもだけど…」
いやもうそう。俺もそう思う。なかなかにやばいでしょコレ。普通に常識とか色々ないしさぁ。
「そういえばおねぇさんも彼氏となんやかんやあったんですよね?」
聞いたらパッと明るい顔になったと思えば急にダークサイドに落ちたかのような顔つきになった。
うーんすげぇ表情豊かだな。
「そうなんだよ〜。まぁうちも今日別れたんだけどさぁ、すぐ手上げるわ金たかるわでイライラしてたんだよね。でも好きだから耐えてたけどそいつがさぁ…、好きな人が他にできたとか言うて別れたんだよねぇ…」
「うーん…俺と似たり寄ったりですね…。手上げたりとかはなかったですけど…なかなかにカスじゃないですか…」
グッと生ビール一気に流し込んで、彼女はめちゃくちゃでかいため息をついた。
「はぁ…。そうなんだよねぇ…もうやけくそ気味になってここ来たんだよ。ほんと性別以外全部同じだわ…」
ため息混じりに笑う彼女を見ながら、俺もビールを飲み干す。
「とりあえずヤケになってこんな店に来た訳ですし、これも何かの縁ですから飲むだけ飲みましょう。金は結構溜め込んでるんで自分持ちで」
「え、いいんです?いやいやまぁうちも働いてる身として割り勘で飲みまくりましょう」
改めて傷の舐め合いの飲み会を始めることになった。
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