第18話 どうしても思い出しちゃう夢乃です
——金曜日。
朝、コーヒーを買いにコンビニ寄った
冷たいビニールの包み紙に触れる前に、ふと我に帰る。
——なんで私が彼の食事の心配をしなくちゃならないの?
私は恋人じゃない。
これ以上気を許したらつけ込まれる。
夢乃は結局、コーヒーすら買わずにコンビニを出た。
同じフロアにいるからこんなに悩むことになるのだな、と夢乃は思う。初めは別の仕事をしてて、他のフロアだったから異動で同じ階になった時は素直に嬉しかった。
それから鷹田が夢乃を見つけて、どんどん距離を詰められ、気がつけばあっという間に恋人同士になっていた。
周りには内緒にしていたけど、自然とわかるようで、随分とからかわれたり嫌味を言われたりしたものだった。
『えー? 鷹田さんがあの娘と? 嘘でしょ?』
『ふーん、あの娘なんだ?』
『貧乏くさくない?』
『ねえ、鷹田さんと付き合ってんの?』
それらの
急に騒がしくなったのは鷹田がいろんな女性に声をかけていると噂になった頃だ。
『ふーん、やっぱりね』
『チャンスじゃない?』
『私も声をかけられたわよ』
——あーあ、めんどくさいな。
思い返すとモヤモヤが溜まる。
夢乃は時折感じる鷹田からの視線を無視して、キーボードを叩くことに専念した。
つづく
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます