第17話 ちょっと息ぬき

 夢乃ゆめのにとってラッキーなことに、その日の水曜日と次の日の木曜日のランチの時間は誰にも邪魔されることが無かった。


 水曜日は鷹田たかだ黒井くろいが得意先への挨拶回りに出ていて不在だったことと、木曜日は夢乃が同期の女の子とラウンジでお弁当を持ち寄って食べたせいだった。


 ——とはいえ、いつも一緒に食べるわけじゃないしなぁ。


 一緒に食事した同期の女の子は普段は営業にまわっているのだ。


 ——それに。


 それに本当に自分は鷹田と関わりたくないのかといえば、それは違うような気がする。


 ——でも、彼を許すの?


 許すって何よ。


 初めから遊びだったのに、また都合のいい彼女にでも戻る気?


 夢乃はまた自分の中で答えを出すと、ため息をついた。


 ——こうやってみんな終わった恋を忘れて行くのかな……。





 つづく

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