第16話 決してヤキモチなどではありません
水曜日——。
少し寝坊した
だけど残念ながら朝ごはんを食べる時間がない。
夢乃は会社近くのコンビニでサンドウィッチとコーヒーを買う。朝会が始まるまでに食べる時間くらいはあるだろう。
バタバタと席に着くとコーヒーをデスクに置く。サンドウィッチのビニールを剥がそうとしたその時、目の端に
——なんかふらついている。
ちょうど夢乃の後ろを通り過ぎた女子社員たちが鷹田の噂をしているのが耳に入る。
「鷹田さん、体調悪いのかしら?」
「心配よね」
——いろんな人に心配されてるじゃん。
ちょっとだけ、ムッとする。
別に夢乃の彼氏ではないが、他の人が心配してると気になる。
——どうせまた食べてないとか言うんでしょ。
夢乃は食べようとしていたサンドウィッチとコーヒーを手にすると鷹田のところへ行く。
「ほらこれ。昨日からずっと食べてないんでしょ?」
「夢乃……」
「手作りじゃないけど」
そう言ったが、鷹田は素直に受け取る。
——夢乃が用意してくれた物なら。
食べられるようである。
どこか安心したような鷹田の様子に、また夢乃は心がざわつく。
——あーあ、朝ごはん食べ損ねちゃった。
つづく
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます