第3話 絶対に絆されたりしないんですから


 ——こういうことに慣れてない。


 鷹田はどうやって夢乃に謝っていいのかわからない。そもそも心当たりはあるが、本当にそのことで無視されているのか確信が持てなかった。


 だから人気のない給湯室でようやく夢乃を捕まえた時もやや乱暴な口調になってしまった。


「なんで無視すんだよ」


 給湯室の入り口を塞がれた格好で目の前に立ちはだかる鷹田に、夢乃は精一杯強がった。


「無視なんてしてません」


 正面から睨まれて、鷹田はたじろぐ。今までこんなふうに言われたことなんてなかった。


「れ、連絡取りたいんだけど」


「私はしたくありません」


「あ、う……」


 見たことのない表情をされて、今度は夢乃の方が驚く。泣きそうな鷹田の顔なんてほんと見たことない。


 ——いやいや、ここで情に流されて許したら、またイヤな思いをするのよ。


 夢乃は勇気を振り絞って極めてフラットな抑揚で言った。


「私には関係ありませんから」






 つづく

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