第11話:晴翔と結愛

「へぇ。ここが結愛の部屋なのね? 以外になんも無いね?」


 晴翔は結愛の部屋に入りボソッと感想を言った。


 晴翔の感想通り、ベッドがあり、化粧をするための道具はドレッサーとその横にもケースの台がありみっちり詰まって置いてあるのと、衣類もクローゼットをはみ出して衣類収納に掛かっているのはある。


 化粧道具と衣類はいっぱいある。しかしそれ以外は特に何もない。本当に無いのである。





「そうね。昔はもっとコテコテの女子女子した部屋だったけどね、私もいろいろとあったのよ。特にお兄ちゃんが陽葵さんと付き合ってからは一層、一掃してすっきりしたわね。


 にしても、まさか晴翔が私の部屋にいるなんてね。晴翔が初めて家に来た時には1ミリも思わなかったわ。


 人生何があるかわからないわね。って、そんな長く生きてるわけじゃないけど。


 で、何? 急に直接話をしたいって連絡よこして?


 私、今やれやれって顔している自覚あるわね。」



「あ、そうそう! 大変なんですよ! 結愛さん! 大変なんですよ!」



「もう、うざったいわね。だから、その大変を聞いてるんでしょ?」



「わ、ワシ、浮気をしてしまったかもしれん!?」



「あああ、浮気ね。それは大変ね。そりゃあ晴翔も慌てるわね………。






 って、はぁ? うわきぃぃぃ―――――!?」



 いかにもお約束の驚き方をする結愛である。引き続き確認する。


「ちょっ、ふざけんじゃないわよ!!!


 って、『かもしれない』って言ったわね? なにその歯切れの悪い言い方?


 ま、まあ、度量の広い私なんで、一方的に騒ぎ立てることはしないわ。まずは晴翔の釈明を聞きましょうか。


 ほら、言ってごらんなさいよ!」



「ゆ、結愛さん。こ、怖いです。でも、オレが悪いのでしょうがないですが………。


 えっと、じ、実は昨日、偶然陽葵と会って、そのまま昔のような感覚で陽葵の部屋に行ったんだよね。


 で、家に帰って冷静に考えたら、今は結愛と付き合ってるんだから、これはもしや浮気になるのでは???


 と思って、うやむやになる前に自分からきっちり申告して結愛のジャッジを受けたほうが良いんじゃないかと思った次第です。


 ここはちゃんと誠実さを前面に出してですね………。」



「あー、はいはい。そういうことね。陽葵さんね。もうこの話は良いわ。解散!」



「え? そんなんで良いの?」



「良いよ。良い良い。陽葵さんでしょ? 晴翔と陽葵さんの関係においてなんか変なことになるとは1ミリも思ってないわ。


 ということは私にとっても1ミリも酷いことにならないってわけ?


 私、晴翔のそういうところは………。」



「そういうところは? なに?」



「1くぁz2wsx!? な、なんでも無いわよ!!!


 って、晴翔も律儀よね。自分でアピールはどうかと思うけど、まあ、そういう誠実なところも………。


 って、さっきから私に何を言わそうとしてるのよ!!!


 酷いわ! こんなの誘導尋問よ!!!」



「え? オレなんもして無くない? 言いがかりだ!


 でも残念だなあ。そういうところが好きってところならうれしいのにね!


 オレ、浮気の件が問題なく解決するんだったら、もうひとつ言いたいことがあって来たんだよね。


 むしろ、浮気のほうがついでだったかも。あ、失礼なこと言ったかもしれんけど。」



「もう、良いわよ。たまにどさくさに変なこと言い出すのにはもう慣れたわ。で、もうひとつの用事って何よ?」



「ええっと、オレすっかりもう、結愛のことが好きになっていたみたい。好きになったことをちゃんと伝えたくて来たんだよ。


 って、改まって言うと、結構恥ずかしいな。アハハ。


 でもまあ、これからもよろしくね。」



「くぇらsdfzxcv!? な、なに言っての? 急に? ば、バカなの???


 だ、だったら聞くけど、具体的にどういうところが好きになったわけ?」



「え? 言っちゃって良いの? なら遠慮なく言っちゃうけど、まずは顔が可愛いところかな?


 陽葵とはまた別の可愛さだよね。美少女って感じだよ!」



「まあ、当然よね! 私は可愛いわよ! 知ってる知ってる!」



「で、可愛いにあぐらを掻かず、もっと可愛さを保つためにひたむきに努力しているところかな?


 服とか化粧とか謙虚にストイックに頑張るところは尊敬している。」



「がっ!? な、なかなか良いところまで見ているわね。ええ。努力もしているわよ。」



「あと、出掛けるときに、オレの好みに合わせてコーデしてくれるところとか?」



「そ、そうね。あ、相手の好みに合わせるのは当然だと思っているわよ。ま、まあ、晴翔はもっとおしゃれしても良いのよ?」



「オレにはマウント取りたくていつもツンツンしてるけど、友達同士だと、すごく優しいよね?


 いつもすごく気遣って付き合ってるの知ってるぞ!」



「がぁ―――――!!!


 わかった! もう、わかったから―――――! 恥ずかしいわ!


 ってか、え? なに? 私のことを辱めて楽しんでるわけ???」



「え? そんなことないよ? 本当のこと言ってるだけじゃん。ってか、自分で言えっていったくせに。


 まあ、それはそれとして、これでもとっても感謝してるんだよ。バレンタインの時、結愛が付き合ってくれたこと。


 うん。本当に感謝してる。ありがとう。」



「え? 今度は感謝で私を褒めちぎるの? 今日の晴翔はホントにどうしちゃったのよ?」



「確かに、どうしちゃったんだろうね?


 でもでも、確かにあの時、オレの陽葵への気持ちが保留になって凍結しちゃった感じだったんだけど、昨日、ようやくオレの中で陽葵との気持ちが整理された気がするんだ。


 結愛がいなかったら、オレの気持ちがまたおかしな方向に行って、オレも陽葵も不幸になるところだったと思う。


 本当に感謝してるんだよ。」



「あ、昨日、陽葵さんとの件って、もしかしてお兄ちゃんの件?」



「おっ? 察しが良いね! そうなんだよね。陽葵の口から直接報告って感じで悠人のことを聞いた。」



「あー、なるほど。頭の悪い私でも流石にこれは察することができるわね。


 そっかそっか、陽葵さんといろいろと会話していて、それで晴翔の気持ちが整理されちゃったわけね。これ自体喜ばしいことだとは思うけどね………。


 でも、実は私の魅力でメロメロで陽葵さんのことを忘れさせてあげるつもりだったんだけどなあ。


 流石にそこまでは無理だったかな。相手は陽葵さんだし、晴翔にしても簡単に陽葵さんの件を解決して欲しくなかったし、まあ、これ私は悪くないわね。うんうん。私のせいじゃない!」



「ってかさあ、結愛さんよー! なんかオレばっかりズルくね? 結愛はどう思ってんのよ? オレのこと………?


 まさか、このタイミングでそうでもないって言われたら寝込んじゃうけどな?」



「なっ? わ、わたし? 矛先がこっち来た?


 うーん、そりゃあ、まあ、好きに決まってるけどね………。


 改まって言うと、結構ハズいな………。」



「え? なになに? 良く聞こえないんだけど?? いや、ほんとに?」



「もー! めっちゃすきぴの大好きよー!


 どう? これで満足かしら? ってか、なんの罰ゲームよ!!!」



「!? これは想像以上に来るな? 確かに恥ずかしいね。


 で、予想以上にめっちゃ嬉しかった件。」



「え? なになに? 晴翔キモーい!


 ってか、晴翔がそんな反応するんだ? ちょっと楽しくなってきたかも!


 あれ? これ? もしかして私、今は完全マウント取ってる感じ???」



「ぐぬぬ。結愛の奴め! 調子に乗りやがって。まあ別に良いけどね。


 ちなみにさあ、いつから好きになってくれたの?」



「え? いつってかなり前からよ? ああ、少なくとも告白イベントの時にはちゃんと好きだったわよ?


 流石の私も好きでも無い相手に告白はしないわよ。」



「え―――? だって告白の時、今は好きかわからないって言ってたじゃん?」



「ああ、確かにそんなこと言ったかもしれないわね。そんなこと?


 あれはまあ、あの時は私、お兄ちゃん大好きだったわけじゃん?


 まあ、お兄ちゃんは今も大好きなんだけど、晴翔はお兄ちゃんの代わりなの? 恋愛感情はあるのかな?


 みたいなことは思っていたわけよ。それで、ああいうことを言ったのかもしれないわね。


 それとね、いちおう、あまりガツガツ行き過ぎると晴翔のことだし、断られるかもしれないってのがあったからそうならないような雰囲気も出そうと思ったわけよね。」




【ちょっ! ガツガツって、最後のほうガツガツっていうよりも、むしろゴリ押しだったじゃんか。まあ、これ言ったら怒られそうだから胸に秘めておくかな。】




「あとね、さっき晴翔もさんざん私のことを褒めちぎってくれたと思うから、私もめっちゃくちゃ褒め称えたいと思うんだけど、ただ、晴翔ってば自分の能力とか魅力とかどう評価してるの?


 実はちょっと気になってたんだよね? 以外に自己評価低いと思うんだよね?」



「え? なに急に? 自分のことは自分が一番良く分かってるつもりだけど?


 普段から自分のことは過不足なく評価してるぞ?」



「うんうん。例えば?」



「まずは、親が裕福なこともあって、いろいろと習い事もさせてもらったからね。知識や経験は歳の割りにはあるほうかな?


 勉強は頑張ってきたからそれなりにできるほう。まあ、凪咲みたいなのがいるんで学年トップとかはできなかったけどね。


 あと、運動神経もめちゃくちゃ良いわけじゃないけど悪くも無い。


 新しいことを始めてもすぐに高い位置での結果を出せるかな?


 まあ、突出した能力はないけど、いわゆるオールマインダータイプ。ただ、結構高いレベルのヤツ。


 まあ、こんなところかな?」



「なるほどね。なんとなく私の考える晴翔が思ってそうなところと一致だわ。ちなみに、コミュ力についてはどう思ってるの?」



「コミュ力? また想定外な言葉が出てきたね? 別に可もなく不可もなくとしか思ってないけど?」



「あああ―――! やっぱりね! なんとなくはそうじゃないかって思ってたのよね。


 ほんとにまさか無自覚系主人公能力だったとわね!! アハハ! これはまさにクープスプスってやつだわ!


 ヤバい! 今日の私ってめっちゃマウント取れるじゃん!


 これ、たぶん晴翔以外は全員思っていることだと思うけど、晴翔の最大の魅力、能力はコミュ力よ!」



「!?」



「まあ、確かに陽葵さんみたいな人が横にいちゃ自分の能力を自覚できないかもなんだけどね。陽葵さんもコミュ力お化けだし。


 自覚もあるから言うんだけど、私もお兄ちゃんも相当めんどくさい性格っていうか、そもそもあんまり人と関わりあいたくない人なんだけど、それでも晴翔はこの兄妹と仲良くやっているのよ?


 これは陽葵さんでもそうはなってないじゃん? ソースはここね。


 陽葵さんのコミュ力って『純粋な人柄』だと思うけど、晴翔のはちゃんと『能力』だと思うわ。まあ、まさか無自覚でやってるとは思わなかったけどね。


 あとあともうひとつ、晴翔の最大の魅力で能力!


 エンハンスメント能力っていうの? ゲームで言ったら味方にステータス向上のバフを与える系のサポートキャラ。


 一緒にいるだけで能力を持ち上げてくれる系男子なんだよね。


 私もお兄ちゃんも、それにおそらく陽葵さんだって晴翔に能力持ち上げられたって感じする。


 まあ、あれよ。私の見立てでは、陽葵さんをあのコミュ力お化けに仕立て上げたのは晴翔なんだと思う。晴翔があのモンスターを生み出したんだよ!


 もともと素養はあったんだと思うけど、環境に恵まれなかったら能力は開花しないもんね。


 いやー、めっちゃ語ったな! ここまで語ったの初めてかもしれないわね。めっちゃ気持ちいいわね!」



「そっ、そうなんだ? こんなこと言われたのはじめてだけど???


 そんな風に思ってたんだってのと、そういう風に思ってる人がいるんだ?


 ってのがなんかいろいろと込み上がってくるな。」



「ウフフ。あと、晴翔は感謝も述べてたわね!


 語りついでに私もめっちゃ晴翔に感謝していること話しちゃおうかな? まだまだ長いわよ!」



「ええ? まだなんかあるの? さっきの結愛の気持ちわかりました。これは確かにハズいよな。」



 晴翔は一瞬はにかんだようになるが、結愛はそんなのお構いなしに話を続けるのであった。



「えっと、この前ママが帰ってきたときの話なんだけどね。」



「ああ、結愛の誕生日イベントだったよね。」



「あ、そういや私の誕生日だったわね。そこはまるっきし忘れていたわ。って、そこは今良いのよ。


 確か、ご飯食べてるとき、うだうだ考えているのはバカらしいって話はしてたと思うんだけどね、覚えてる?


 その後さらに考えてるとね、ぜんぜんそれだけじゃなくって、むしろ考えれば考えるほどめちゃくちゃ怖くなってきたの。


 晴翔も知ってる通り、家のパパとママはマジモンでめっちゃ忙しい人たちなのね。それでもこうやって私とお兄ちゃんに会いに来てくれるわけよ。


 で、お兄ちゃんだけじゃなくて私も高校生になってきて今後私たちの気持ちどうのこうのって関係なく会える機会は少なくなっていくのかなって思うの。


 特に私たちの場合は物理的な距離の話もあるから余計に避けられないわよね。親子だからって理由でどうこうなるフェーズはどんどん無くなるわ。


 現に今回は、パパは戻って来てないからね。


 確かに血縁は消えないし、消せないし、だけどね、私とママたちの絆って自分で、今後は自分がちゃんと繋がないと切れちゃうって思ったわけね。


 私がツンツンしてたらママたちだってどんどん帰りづらくなる。余計にそうなるよね?


 流石にこれ以上、気持ちが離れてしまったら取り返すのにもっともっと労力が必要になってくる。


 場合によっては取り返しがつかなくなることもあるわよね???


 これに気付いちゃったとき、本当の本当にゾクッてなったわ。今もこれを思い出すと身体が震えるもの。ほら、今だって………。


 晴翔は思い付きでやっただけなのかもしれないけど、私にとっては、一生返せないくらいの恩が出来たって思ってるくらいよ。


 本当の本当にありがとう。晴翔。」



 そう語る結愛の身体も少し震えていたし、瞳もとても潤んでいた。本音の本心であることは見て分かった。


 晴翔は、まさか結愛からここまでストレートな気持ちを向けられるとは思っていなかったので焦りと戸惑いが発生する。


 しかし、それ以上に嬉しかったことは間違いないし、この気持ちにはしっかりと応えていきたいと気持ちが引き締まったのである。



 そして晴翔は笑顔になり、結愛の言葉への回答をする。


「結愛がそこまで考えてくれてたなんてめちゃくちゃ嬉しいよ。あの結愛が、オレに対してはツンツンの結愛がここまで言ってくれるんだからね。


 オレの気持ちも一層引き締まったよ!」



「そりゃあどうも。


 初めて会った時の癖というか、すっかりお兄ちゃん取られちゃった嫉妬と悔しさは今もあるからツンツンは治らないわね。ってか直すつもりも無いし。フフッ。」



「そこはもっとお手柔らかにならないの? まあ、ギャップを見るのも可愛いから別にこれはこれで良いんだけど。


 ちなみに、あの時のオレの心情っていうか理由みたいなものしっかりあっての行動なんだけどその辺りも聞きたい?」



「え? なんかエピソードでもあるの? それは興味あるわね!」



「じゃあ、話しておくね。


 家の両親というか家族的なやり方、教育方針みたいなものでもあるんだけどね。


 両親ふたりともめちゃくちゃ頭が良くて、回転スピードもめちゃくちゃ早くてえげつない人達なんだけど、だからってすべてを論理的に処理するかっていうと、そうでもなくて、ちゃんと心の問題にも向き合う人なんだよね。


 なんか問題が発生したときに数学的に答えが出せるんであれば、その答えに対して躊躇なく実行する。


 まあ、これが本当にできる両親もすごいんだけどね、ただ、『気持ち』とか『心』の問題になってくると途端に答えが出なくなることがあるじゃん?


 そういう問題に出くわしたときは色々と考えるのは時間の無駄! だって、答えが出ないし、そもそもあるかもわかんないんだから。


 じゃあ、そういう時はどうするのか? 問題の原因になっている状況とか場所へ飛び込んでみるしかないわけじゃん?


 だからと言って、答えが見つかる可能性は無いんだけど、でも、新たな変数値が見つかることは良くある。


 変数値から再検討を重ねて答えが見つかることもある。っていう繰り返しをすればいつか問題は解決できるっていう考え方。


 ただし、これをやってのけるのは本当に難しいよね? 心の問題が多いから、メンタルをめちゃくちゃにされることもありえるわけだからね。


 いやはや、これを簡単にやってのける両親は本当にスゲーんですわ。


 で、あの時の結愛だけど、挙動が変なことは見て取れてた。なんでかって原因を探っていったらお母さんが原因だってわかったからね。


 で、この手の問題はさっき言った通りでなかなか答えは見つからない。これはこれ以上会話してても無駄だなって思ったわけですよ・


 だったら、サクッと原因のお母さんのところにぶち込んじゃえばよいじゃん! ってなったわけです。


 まさかここまでクリティカルに問題解決になるとは思わなかったけどね。まあ、それは普段から結愛も悩んでいてあとはキッカケ待ちってところまで来てたのかもね。」



「晴翔。ひとつ疑問に思ったんだけど聞いてよい?」



「え? なになに? まさかの結愛からの質問!?」



「そもそもそのやり方って悪い結果が出る可能性もあるわよね?」



「ドッキ―――――ン!!!


 そこに気付いてしまわれるとは、結愛さんも成長しましたな! 確かにその通りだよ!


 さっきもメンタルの話題ちょっとしたけど、心の問題で原因に突っ込むわけだから悪い結果になったら本当に傷つくよ。場合によっては病んじゃうこともありえるし。


 でも答えがどうしても欲しいなら避けて通れないと思うし、悪い結果でさえもそれを新たな変数として別の解決を目指すんだよね。


 今言ってて思ったけど、オレの両親やっぱスゲーわ。アハハハ。」



「いや、アハハって、晴翔さん。簡単に言ってくれちゃってますけど、これどう考えても簡単じゃないわよね?


 確かに、みんなそう思うことはあっても実際に実践できる人なんてそうそういないわよ。これが簡単にできないからみんな苦労するんだから………。


 でもでもなるほどね。これが晴翔のコミュ力の源泉でもあるわけね。晴翔の学校での振る舞いや立ち位置見てたら説得力でしかないわね。」




 ブッブッブ!


 このタイミングで結愛のケイタイが鳴った。結愛が確認する。どうやらメッセージが届いたらしい。



「ええええええ―――――!? ちょっ!? ママったらこれま?」



「ちょっとどうしたんだよ。大声出して。」



「いやね、ママが久々にパパと仕事が一緒になってそれでパパに晴翔のこと言ったみたい。


 そしたら、パパがズルい! オレも会いたいってなってるみたい。


 で、夏休みに欧州に遊びに来ない? って聞かれてる。あ、もちろん旅費はすべて家の両親が持つからって。」



 ブッブッブ!


 さらに結愛の携帯がなった。父親からのメッセージも届いたようである。



「ええええええ―――――!?」


 晴翔も結愛と同じ反応をする。そりゃあそうであろう。



「あれれ? これ、オレ行かないといけないやーつじゃね? えっと、オレ、一応受験生なんだけどなあ………。」



「フフフッ! その反応はわかる気がするわね。でも、うちのパパもママもわがままだからね、一度言い出したら引かないわよ?」



「ぐぬぬ。


 でもなるほど。結愛にそっくりってわけだな。それはしょうがない。」



「そうそう、私にそっくり、私の両親だっからね! って、なにをどさくさに!!!


 でも、大学とか晴翔はどうせ推薦で行くんでしょ? だったら問題なくない?」





 ってことで、晴翔は夏休みにヨーロッパ旅行に行くことになる。


 と、その前に結愛が晴翔の両親に会うイベントが発生して、意外な結愛の行動に晴翔がびっくりしたりする。


 さらに晴翔は悠人に陽葵の件でブチ切れたりする。



 とまあ、今後もイベントは盛りだくさんなのだが、それはまた別の機会にお話しすることになります。


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横恋慕だった晴翔君、横から恋を差し込まれる Tさん @T-SAN

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