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 この戦略は基本をもってメタ・ゲームだ。敵となるであろうと考えられる人々の行動を先んじて予測シミュレートし――行動アクションする。ゲームの外側、盤外にこそ戦場が存在する。駒として動くチーム『Samaritan』の面々Soldierを動かす作戦行動を複数に分け、このパターン全てを練習によって誤差なく実行可能な状態に落とし込む。そして、それら作戦行動が破綻した際の仕切り直しの暗号を設定し、破綻時の行動さえも一元化する。ここで展開は以下のように設定されることとなる。

 第一。プロゲーミングチーム『Samaritan』のリーダーであるMatthew7おれから下される作戦展開オペレーションを実施。例外的な事態が置きない限りは、基本的に規定された動きをメンバーは取る。

 第二。作戦展開が破綻した場合は、先に下された命令行動に付随する撤退行動を取る。これも複数パターン存在するが、第一の司令よりもバリエーションは圧倒的に少ない。

 第三。作戦展開が破綻したが、撤退行動に成功した場合。この時には再度司令を下す。

 つまり、一連の作戦行動において駒となるチーム『Samaritan』のメンバーは、特定の作戦行動内部においてのみ主導権イニシアチブを持つ。大枠における作戦行動ストラテジーを決定する権限を持たない。あくまで基本は、第一行動の後に第二行動を成功させ、第一へ戻るのが基本戦術メインセオリーとなる。時間制限を考慮すれば、第二の行動時間を長くとることはできない。最初に提示した戦略の破綻を早急に察知する必要がある。

 一連の行動においてリーダーであるMatthew7は、第二と第三の段階においてのみ指示を飛ばす。通常の場面――即ち、それぞれに下された作戦行動下においてリーダーは、他のメンバーとは別個の、全く自立したミッションを遂行する。メンバーに主導権イニシアチブがないのに対し、リーダーのみが自由という名の刑に処されるのである。

 この基本戦術のために、リーダーであるMatthew7はゲームタイトルごとに複数の戦術を立案した。それぞれが複数の記号で示される作戦術。……

 対戦格闘ゲーム『グランドファイター20XX』においては、それぞれのキャラクターごとにα・β・γの戦術パターン。撤退パターンはA及びB。

 RTS『テルミナートル・チェス』においてはWhite・Black・Red・Blue・Yellow。撤退パターンはC及びD。

 FPS『バトル・フロントライン』においてはギリシャ数字のⅠからⅦの符号に、撤退パターンとしてE・F・Gがある。

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