phenomenon:12
一連の発言でさえ、
ここで俺は考えた。今のお歴々は大きなイベントそれ自体を疎んでいる。嫌がっている。端的に言えば面倒臭いの一言だが、その一言には多数の含意がある。即ち、彼らは
<責任は取れるのか>
とこう返ってきた。案の定の答えで俺は思わず笑ってしまった。
責任。この言葉は人を制止する上でもっとも効果的な言葉だ。責任感覚には実態がない。所在もない。それは生み出された瞬間にのみ生きる
<責任? 責任がどこに生じるんだ>
<無駄骨を折る羽目になるかもしれない>
<無駄骨? オンラインの大会だ。渡航費は必要ないんだぜ>
<しかし時間が必要だ>
<小銭稼ぎに使うか、そうでないかの違いでしかないだろう?>
<何の成果も得られないぐらいならば、小銭稼ぎをしていた方がマシだ>
<お前は老いぼれのホームレスのような思考をするんだな>
<
<人生に希望がないから。この先には岐路などなく、ただただ日々自動販売機のお釣り口とか、自販機の下なんぞを漁り、時々気が向いてみたら旅行客に
<随分と雄弁だな。欧州議会に立候補してみたらどうだ?>
<それを言われたのは二度目だよ>
<不愉快だな>
と言い負かされた奴が言う。
<じゃ、つまり。大口叩いたお前は何らかの形で我々に収益を約束すると、そう言い切れるわけだな?>
つまり、この言葉こそが核心的なのだ。話は常に
だからこそ、
<約束しよう。我々はこの『6d<シックス・デイ>』によって、何らかの利益を得るであろう、と>
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