phenomenon:5
そういう場所では、手っ取り早く上達できるような、初期投資の少ないものが盛り上がる。2D対戦型格闘ゲームもそういうジャンルの一つだった。FPSがPCスペックを求めるのに対し、2D対戦型格闘ゲームは対戦相手があればよい。
ある時――パキスタンだったか?――でとある2D対戦型格闘ゲームのプレーヤーが、国際大会に出場するための様々な障壁を乗り越えて参加した先で驚異的な結果を残した末に……まるで
「俺の国には、俺よりも強い奴が何人もいる」
――と。
まあ、パキスタンのそのゲーム周りが今どうなっているのかは定かではないが、国際的に孤立しつつある
そんなもんだから俺もそこそこに2D対戦型格闘ゲームはやり込んだ。国際的に名が知られているタイトルを中心に、マネーマッチや賞金付き大会の多いタイトルに絞り、幾つか練習をしているタイトルがある。今回、
相手になるのは、この場所で格闘ゲーム以外に能が無い劣位の奴。とは言えコイツは能無しというわけでもない。特化しているぶん厄介で、キャラ対策はバッチリ出来ている。俺もそれなりにこのタイトルをやり込んではいるが、実際に対戦となれば土をつけられかねない相手だった。
勿論、そいつ自身やる気満々だ。格ゲーしか能が無いぶん、追い詰められている。despair turn
<私、まだコントローラーを持っていません。誰かスティックを貸してくれませんか?>
俺は言う。
<ボタン式で良ければあるが>
<ボタン式は駄目なんですよ>
<贅沢言いやがる>
<んじゃ俺が貸そうか>
そう言い出したのはレトロゲームオタクの
<流石
<そういうわけじゃない>
<じゃ、どういうわけよ>
<どうでもいいだろ>
<Lazarus16、お前の座標は?>
<Square265ですよ>
<んじゃ発送手続きしとくわ。明日には届くだろ>
<おお、ありがとう! 助かります!>
<それほどでも>
俺はこの時、一つの違和感を覚えた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます