大ゲルマン帝国 ー イーゴリ・ラザレンコ視点 ー
「帝国」
「槍騎兵が行進する!修道院の屋根まで燃える火を!」
裏路地に見知った男の声が木霊する。
「エルドレン、幾ら何でも飲み過ぎだ。声を小さくしろ。」
嫌悪を示す声も見知った男のだ。
そうだな。紹介を忘れていた。
注意を受けている人間はエルドレン・ブラウンという人間だ。
帝国元帥の地位を受けて置きながらあのザマだ。
元々飲んだくれだったから仕方ないが....
注意している人間はアルベルト・カルヴァンスク。
陸軍大臣だ。素性は全く知らない。彼奴のプライベートを見たことがある人間は居るのか?
「申し遅れたが、今喋ってる人間はラインハルト・ザイツィンガーと覚えておいてくれ。
俺は諜報...要はスパイ活動をやってる。
この国の諜報を束ねているのは勿論...おっと、これ以上は言ってはいけない決まりだ...」
モスコーヴィエン家の当主が変わって直ぐ、全土で貴族特権撤廃の動きが激しくなった。
上層が貴族主義的なのもあって、改革は頭打ちとなり、農奴の夢は潰えた。
しかし、士官学校を卒業してから将校になった者の多くはそうではなかった。代表的な人間としてアルベルト・カルヴァンスク、エルドレン・ブラウン、レオンハルト・クラインシュミットの三人が居る。
彼等は貴族特権の排除だけでなく、貴族も農奴も関係無く戦う「総力戦」を支持した。
彼等が居る限り、改革の炎は潰えることがない。
犠牲の果てに勝つのは悪魔か?はたまた鬼か?
「まぁ...こんな所だ。実際現状どっちに付くってのは難しい。正直な話、俺は観戦を決め込みたいが、そうは問屋が卸さんだろう。
明日、帝国議会にて今後の戦略を始め、多くの内容の議論がされる。お前も来ればいい。”イーゴリ”」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます