第23話

 三日目になってもま〜だ捕まえられない、お兄ちゃん強すぎー!

 とりあえず今日はもう歩かないらしい、うーん、ここら辺には罠作ってなかったなぁ。


 「リリちゃんここに来てからまだ一回も体洗ってないよね、洗お!」


 お姉ちゃんが川で汲んだ水をお湯にして持ってきた。

 やばい、服の下見られたら、見られたら…。


 「今日は…いいや、次洗う」

 「そーお?あ、そういえばネオ君も体最近洗ってないよね」


 お姉ちゃんがお兄ちゃんにターゲットを変えてくれた。

 よかった〜。


 「え?お、俺もまた次で良いよ」


 お兄ちゃんが体を隠すそぶりをしながら言った。


 「だーめ!十五歳でお風呂サボらないの、こっちいらっしゃい、お湯で洗ってあげるから」


 お姉ちゃんが袖を捲って、お兄ちゃんの腕を引っ張る。


 「い、いや、それは自分でできるからあああ!」


 あははっ!なんか面白いなぁ。



***



 五日目はお勉強ごっこをした、お姉ちゃんが出してくれた問題は楽しい!

 でも途中から難しい言葉が多くて分かんなくなっちゃった、その後いっぱい遊んでくれたから良いけど、でも黒いアザって…。



***



 七日目はいっぱい歩いた、途中でお兄ちゃんを罠に仕掛けようとしたけど、お兄ちゃんはなんか険しい顔をして聞いてくれない。

  もー、このままだと出口ついちゃうよー。


 仕方なく歩いていると、お兄ちゃんが私とお姉ちゃんの前に立って何かを弾いた。

 すると茂みから知らない顔のおじさんが二人出てきた、お兄ちゃんがおじさん達の前で構える。

 がんばれ!お兄ちゃん!


 お兄ちゃんはおじさん二人を相手にしても楽そうだった、攻撃をいっぱい避けてキックして、相手を圧倒している。

 これならまたお兄ちゃんの勝ちだと思ってた、すると相手が卑怯な手を使って、お兄ちゃんを上手く動けなくした。


 このまま私達は眠らされてしまった。




 目が覚めると、そこにはお姉ちゃんが辛そうな表情で座ってた、どうしたんだろ。

 そう言えば捕まってたんだっけ、でもお姉ちゃんが助けてくれたんだ。


 お姉ちゃんが魚を焼いてくれた、でもお姉ちゃんのぶんは無いのかな。


 「私?私は良いの、一晩くらい大丈夫!」


 お姉ちゃんは両腕を上に曲げたポージングをして平気を装ってたけど、きっと違うよね。

 ぐ〜〜。


 ふふ、やっぱり


 「お姉ちゃん!はい、半分こ」

 「りりちゃん…」


 この後、仲良く二人でお喋りしながら寝た、きっとお兄ちゃんは来てくれるから大丈夫!



***



 八日目の朝、目が覚めるとお姉ちゃんはいなかった、慌てて外に出るとびっくりすることが起きた。


 「おおっといけねーお嬢ちゃん、静かにしてな」


 突然外から、昨日のおじさんが口を押さえて木の中に押し戻してきた。


 「ん、女がいねーな」

 「兄貴、待つか?」

 「そうだな、お前外の茂みで隠れてろ」


 そんな…お姉ちゃんごめん。


 でもお姉ちゃんが来ると、すぐに助けてくれた、火魔術でおじさんを攻撃して、すかさずこっちのおじさんの足を引っ掛けて、転ばせて助けてくれた。


 お姉ちゃんに手を引っ張ってもらって一緒に走っていく。


 「リリちゃん、起きたばかりでごめんね、このまま走れる?」


 お姉ちゃん…。


 「うん!」


 するとその時、お姉ちゃんが急に私を抱きしめた、何かと思ったら、お姉ちゃんは腰を怪我していた。


 「うっ」

 「お姉ちゃん!?」


 ど、どうしよう、あいつら近付いてくるよー、こうなったら私が…でも、お姉ちゃんの前であの姿になりたくない…そうだ!この近くに罠と魔法陣作ったよね、そこまで行って、お姉ちゃんに私を好きになってもらってから、あの姿になっちゃえばいいんだ、頭いい!


 私はすぐにお姉ちゃんの手を掴んで、そこに向かって走った。


 「リ、リリちゃん、私そんなに早く走れないから」

 「大丈夫、安全な所に連れて行ってあげる」


 よし、あとちょっとで着く!

 バタン


 その場でお姉ちゃんが倒れてしまった。

 お、お姉ちゃん、どうしよう、このままだと本当に…。


 もうダメだって、本当にそう思った、そんな時、お兄ちゃんが現れた。

 お兄ちゃん!


 お兄ちゃんは早速一人倒して、相手に強さを見せつけた。

 そしてもう一人と少し長い激闘の末勝利した。


 決めた、絶対にお兄ちゃんと友達になるんだ、すぐに私のこと大好きになってほしい!

 お兄ちゃんがお姉ちゃんの近くに駆け寄った時、早速罠の方へ手を引っ張った、でもお兄ちゃんは全く歩こうとしてくれなかった。


 するとお兄ちゃんは、風を起こして罠を作動させた。

 え…。


 「リリ、これ説明してくれないか?」

 「え?なんでリリちゃんなの?」


 なんでバレちゃったの?…とにかく知らないふりしないと。


 「えーな〜に〜?知らないよこんなの、お兄ちゃんよく見抜けたね、すごーいまた助けられちゃった!」

 「リリ、俺は一回これと同じ罠に引っかかったことがある、その時見つけた髪の毛、これ、君の髪の色に近い気がするんだ」


 そ、そんな、髪の毛なんて、そんなの、気付かないでよ。


 「たまたまじゃない?」

 「でも、こんなに綺麗で特徴的なターコイズブルー髪、他に見たことがないんだ」


 ……だよね。


 「リリ、俺は君のこと責め…」


 やめてよ、そんな目で見ないで、あの女の子達みたいな目…もう、嫌われちゃったってことか。


 「なんでさぁ、お兄ちゃん肝心な時に…こんなに感がいいのかなぁ」


 もうなんでもいいや、バレちゃったなら無理矢理魔法陣に入れちゃおう。

 私は服をビリビリに破って上半身を見せた。


 「うそ、魔力不定…?」


 やっぱりそうだったんだ…。


 「待ってくれ、俺は話し合いがしたいだけで…」

 「むりだよ」


 そう、もう無理、二人共ちゃんと、私のこと好きになれるようにしてあげるからね。


 でも、こんな姿、見せたくなかった。

 だってそんな目で見られたら…。


 「なかま・・・だと思ってたのに…」

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