第31話「新緑のメロディ」
ライブハウスでの演奏を終え、家に戻った。
疲れが残るものの、心の中には高揚感があった。
初めてステージに立ち、観客の前で自分の音楽を表現したことが、大きな自信になっていた。
ベッドに腰を下ろし、ギターを膝に抱える。
今日のステージで得た感触を忘れないように、指先でそっと弦を弾いてみる。
音楽が体の中を駆け巡る感覚が、さらに音楽の世界へ引き込んでいくようだった。
「もっと自分らしい音を見つけたい…」
奏音との再会が、心に強く残っている。彼女が見据える世界は、自分とは全く異なる場所にある。
それでも、その世界に近づきたいと思う。
いつか彼女と肩を並べて音楽を奏でる日を夢見て、さらに自分の音楽を追求したいという決意が固まっていく。
翌朝、目が覚めると、すぐにギターを手に取った。
昨日の演奏を思い出しながら、自分の音を探るように弦を弾き始める。音楽は、内面をそのまま映し出す鏡のようで、心の奥底にある何かを引き出してくれるようだった。
学校へ向かう途中、音楽室に立ち寄ることにした。
まだ早朝で誰もいない音楽室に入ると、ギターを手に取り、昨日の感覚を再現するように音を奏で始める。
静かな空間に響く音は、自分自身の心の中にある何かを探るような音だった。
「これが俺の音楽なのか…?」
音楽室の窓から差し込む朝日の中で、ギターを弾き続ける。
その音色は、今までとは違う深みを持っているように感じた。
自分の中にある音楽を見つけるための旅は、まだ始まったばかりだという実感が胸に広がった。
放課後、再び音楽室に戻り、朝の演奏で感じた何かを確かめるように、もう一度ギターを手に取り、弦を鳴らした。
音楽に対する情熱が、突き動かしてくれるようだった。
「もっと深く、もっと広く…」
自分の音楽を追求するための新たな挑戦が、今まさに本格的に始まるのだと感じた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます