第25話「新たな出会い」

放課後の音楽室は、いつもより少し賑やかだった。


部活の終わり頃、見知らぬ顔が何人か混じっていたからだ。


大輝は練習を終えてギターを片付けようとしていたところ、ふとその中の一人が彼に近づいてきた。


「君が最近、ライブハウスに通い始めた大輝くんだよね?」


その声に大輝は驚き、顔を上げた。


彼の前に立っていたのは、同じ学校の先輩、涼太りょうただった。涼太は音楽部のエースで、ギターもボーカルもこなす才能豊かな人物だと聞いていた。


「ええ、そうです。どうして知ってるんですか?」


大輝は涼太の突然の話しかけに戸惑いながらも、礼儀正しく返事をした。涼太はにこやかに笑って答えた。


「実は僕も同じライブハウスに通ってるんだ。そこで君のことを見かけてね。頑張ってる姿が印象的だったから、声をかけようと思ってたんだよ。」


涼太の言葉に、大輝は驚きを隠せなかった。

自分の存在に気づいてくれていたことが嬉しくもあり、同時に涼太のような先輩が同じ場所で活動していることにプレッシャーを感じた。


「そんな…ありがとうございます。まだまだ下手くそですけど、頑張ってます。」


「いや、そんなことないよ。みんな最初はそうだし、君は十分才能がある。これから一緒に演奏する機会もあるかもしれないし、仲良くやろう!」


涼太の温かい言葉に、大輝は少し気が楽になった。先輩としてだけでなく、同じ音楽を愛する仲間として認められた気がして、胸が熱くなる。


その後、涼太は自分のバンドメンバーを大輝に紹介した。


バンドメンバーの一人、真奈美まなみはキーボード担当で、物静かながらも確かな腕を持っている。そして、ドラムの直人なおとは涼太とは対照的に明るく元気な性格で、みんなを盛り上げるムードメーカーだった。


「よかったら、今度一緒にセッションしようよ。」


涼太の提案に、大輝は思わず頷いた。彼らと共に音楽を作り上げることができれば、自分の音楽もさらに成長するに違いない。新たな仲間との出会いに、大輝は希望を抱いた。


その夜、大輝は家に帰ってからも興奮が収まらなかった。新しい音楽仲間たちと一緒に活動できることが嬉しくて仕方がなかった。彼らとのセッションが、自分にどんな影響を与えるのか、想像するだけでワクワクした。


「俺、もっと頑張らないとな…」


自分自身を奮い立たせるように呟いたその言葉が、大輝の次なる挑戦への決意を固めた。

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