第3章:音楽への道
第23話「音楽の新たな道」
数日後の放課後、大輝は学校の外で一人、ギターを背負いながら歩いていた。
奏音との約束を胸に、そして自分自身の音楽を追求するために、彼は新しい一歩を踏み出そうとしていた。
「やっぱり、もっといろんな音楽を経験しないと」
彼の中には、音楽の幅を広げたいという強い思いがあった。
自分のスタイルを見つけるためには、他のミュージシャンたちとの交流が必要だと感じていた。
それが、奏音に追いつくためだけではなく、自分自身の成長にもつながると確信していた。
その日、大輝はあるライブハウスに向かっていた。そこでは、地元の若手ミュージシャンたちが集まり、自分たちの音楽を披露する場が設けられていた。
彼にとっては初めての経験だったが、ここで新たな刺激を受けることを期待していた。
「この街には、まだまだ俺の知らない音楽がたくさんある」
ライブハウスの入り口に立った大輝は、緊張と期待が入り混じる中で深呼吸をした。
中に入ると、音楽の熱気と観客たちの活気が彼を包み込んだ。
ステージでは、すでにバンドが演奏を始めており、その音楽が彼の心を揺さぶった。
「すごい…」
彼はその場に立ち尽くしながら、ステージの演奏に見入っていた。
これまで自分が体験したことのない、新しい音楽の世界が広がっていることに驚きを隠せなかった。
各々のミュージシャンが持つ個性がぶつかり合い、ひとつの音楽として昇華されていく様子は、彼にとって大きな衝撃だった。
ライブが終わると、大輝は意を決してバックステージに向かった。
そこには、先ほどのバンドメンバーたちが談笑している姿があった。
大輝は一瞬ためらったが、やがて勇気を出して話しかけた。
「すみません、さっきの演奏を聴いて感動しました。もしよければ、少しお話を伺えませんか?」
メンバーたちは一瞬驚いた表情を見せたが、すぐににこやかに応じてくれた。
彼らは大輝の質問に丁寧に答え、音楽に対する情熱や考え方を共有してくれた。
「音楽って、どれだけ自分を表現できるかが大事なんだよな」
「自分のスタイルを見つけるのは簡単じゃないけど、いろんな音楽に触れることで徐々に見えてくるんだ」
彼らの言葉は、大輝の心に深く響いた。
そして、自分もまた、この場で経験を積み、成長していけると確信した。
「俺も、もっといろんな音楽を知って、自分の音楽を見つけていきたいです」
その言葉を口にすることで、大輝は新たな目標を胸に抱いた。
彼の音楽への道が、ここから本格的に始まることを感じながら。
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