第13話「二人だけの秘密」
大輝はギターを弾きながら、奏音との過去の思い出に浸り続けていた。
奏音と共に過ごした時間は、彼にとってかけがえのないものであり、今の彼の音楽に大きな影響を与えていることを改めて感じていた。
彼女と出会う前、大輝にとって音楽はただの娯楽だった。
テレビで流れる曲を聞いたり、学校の音楽の授業で習う程度のものだった。
しかし、奏音と出会ったことで、音楽は彼の世界を広げ、特別なものに変わった。
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小学校の休み時間、大輝と奏音はいつも一緒に遊んでいた。
ある日、奏音は「これ、聴いてみて」と言って、ピアノで自作の曲を弾いてみせた。
その曲は、彼女の心の中を表現したものであり、シンプルながらもどこか切なく、耳に残るメロディーだった。
「すごいね、奏音ちゃん。これ、全部自分で作ったの?」
「うん、でもまだまだ下手だよ。もっと練習しないと…」
奏音の言葉に、大輝は驚きと共に、彼女が持つ音楽への真剣な姿勢に心を打たれた。
大輝はその時初めて、自分も音楽を作りたいという気持ちを抱いた。
「俺も、奏音ちゃんみたいに曲を作れるようになりたいな」
「じゃあ、一緒にやろうよ。私が教えてあげる」
その日から二人は、放課後になると公園や学校の音楽室で音楽を共にするようになった。
奏音がピアノを弾き、大輝がギターで合わせる。
二人で奏でる音楽は、彼らの友情をより深め、音楽が二人を繋ぐ絆の一部となっていった。
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現在の大輝は、奏音から学んだ音楽の楽しさや、創作の喜びを思い出しながら、ギターを弾いていた。
彼女の影響で始めた音楽は、いつしか自分にとってもかけがえのないものとなり、彼の人生そのものとなっていた。
「奏音ちゃん、今でも俺は君から教わった音楽を続けているよ」
彼は心の中で奏音に語りかけながら、さらに集中してギターの練習を続けた。
幼少期の思い出が、今の彼に新たなインスピレーションを与え、未来への決意を強めていた。
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