6話 リリーの毒とミーニャの決心

「ええぇ!?毒って大丈夫な奴なんですか??リリーは大丈夫なのですか?カイル様!どうしたら治るんですか!だから、もう10日もたったのに治らないのですか!助けてくださいよ、カイル様‼‼」「落ち着け、ミーニャ本人の方が落ち着いてるぞ。」「どうしたらいいのですか!カイル様…」「そうだな、リリー。治す方法は…ある…とても痛いか、とても苦いか、とても時間がかかるが痛くも苦くもないか、この3つだ。選べ。」…沈黙が続いた。ミーニャがハラハラした様子でリリーを見る。「リリー時間がかかる方にしたら?」…リリーはあくまで話さない「ミーニャ、それは多分1番危ないよ」「なんで…」「ミーニャその通りなんだ。この毒は体内に14日で侵食をして心臓を狙い本人の命を狙っている。時間がかかるものは、どのくらいかかるか私にもわからないのだ。」「誰がそんな毒を盛ったの…!?」「ミーニャ、今は治ることを考えてあげろ。」「そうですよね。リリー、ごめん」「他の2つは何かマイナス要素はあるんですか?」「材料を集めないといけないのだが、間に合うか…」…部屋に静かな沈黙が続いた。「私がとりにいく。リリー痛いか、苦いか選んで。」「ミーニャ…」「私達姉妹同然じゃん、頼ってよ。」「ミーニャを危険な目には合わせられないよ。」リリーは涙を零した。「いや、行く。もう決めたよ。」「ありがとう、痛い方でお願いできる?カイル様、ありがとうございます。発見が遅かったら分からないまま消えて居たかもしれません…」「治った時にお礼はしまっとくんだな。ミーニャ明日に備えてもう寝ろ。朝一で取りに行くぞ。」「はいっっ!」


その夜考えた。あの毒は月夜涙(つきよるい)の草がないと治らない。あの草は(放牧の都)メントラルの山奥にしかない。相当時間がかかる。行っても探すのに時間がかかるはずだ…その他にも薬草が必要だし、タイムリミットは後4日…どうしたものか。手が空いてる人もあまり居ない。これは…仕方ないか。



「おはよう、ミーニャ。ちゃんと寝たか?」「おはようございますカイル様。今日のためにきちんと寝ました!」「そうか、じゃあ作戦を説明するな。」「はい!」作戦はこう。今日(11日)からミーニャをメントラルに行かせると着くのは、明日(12日)の朝。着くまでに寝ておいてもらい着いた瞬間から月夜涙の草を探してもらう。見つかるのが、12日の夜頃だと仮定し、13日の夜頃に到着すれば14日に着いて間に合うはず。「…ってええ!?カイル様は行かないのですか?」「ミーニャ、月夜涙の草だけで治るほどあの毒はすぐ治らない。私は他の薬草を探しに行く。それだけだ。」「そ、そうですか。分かりました。リリーのために精一杯行ってまいります‼‼」「あぁ。私もこっちで頑張るからな。よろしく頼んだ。」


…リリーの様子でも見に行くか。コンコン「カイルだ。リリー入っても良いか?」「はい、どうぞ」リリーは疲れたような表情を見せた。「カイル様、本当は月夜涙の草と他の薬草だけでは治らないのではないですか?」「…そうだな。それだけでは治らない。少しだけ自分を犠牲にするだけだ。」「そこまでしなくて大丈夫です。これ以上、色々な人を失いたくないです…」「そうか、実家に行ったといってたな。誰かを失ったのか?」「家族みんな謎の毒症状でいなくなりました。本当は私もその毒を持っているんだろうと分かっていました。父が借金していて、家族まとめて消されました。私はきっとアーネ様による加護で毒が回るのが遅くなったのだと思います。」「母上の加護…そうだったのか、辛かったな。ミーニャも家族は居ないし、リリーが居なくなったらきっと騒ぐ。もう少しの辛抱だ。ミーニャを信じてくれ。」「はい…」


13日の夜。ミーニャが帰ってくるはずの馬車が戻ってこないことに気づいた。これじゃ間に合わない。焦っているとクコが来た。「カイル様、ミーニャから連絡が来ました。思ったより遅くなりそうです。私が馬に乗って行くことにしました。着いたら、私は倒れるかもしれません。右のポケットに月夜涙の草をいれるので受け取って、リリーを助けてください。と」「そうか。間に合いそうだから良いな。」


しばらくするとへとへとな顔なミーニャが帰ってきた。「カイル様、後は頼みます!」というと、ミーニャはクコに向かって倒れた。


リリーの部屋に向かうと、リリーが居なかった。「リリー!?どこに…」「失礼します。クコの双子の、ココです。リリーは今アーネ王女様の所へいらっしゃいます。」「そうか、ありがとう。ココ」「いえ、失礼しました。」急いで母上の部屋へ向かう。「リリー」「あら、カイル。やっと来たのね。手伝うわ、母さんも」「いや、母上。犠牲になるのは私だけで結構です。母上はリリーに月夜涙の草と薬草を混ぜ込んだ飲み物を飲ませてください。そして私はヒールします。もし私が倒れた後に、まだ状態は服毒でしたら、もう少しヒールをお願いします。では…」「仕方ないわね、分かったわ。」



―ヒール―


―ヒール―


―ヒール―


―ヒール―


―ヒール―


―ヒール―


―ヒール―


―ヒール―


可能な限りのヒールを続け、気を失った。

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