第7話 たいようちょう
「……ところで、この町の名前は何て言うんだ?」
「ふ、ふたりのまち……」
「はぁ?ふたりのまちだぁ?お前ら付き合ってんのか?アツいねーひゅーひゅーっ」
あさひはからかったつもりだったのに、何故かはるととひまりは急に顔を真っ赤にして黙り込んでしまった。
「え、マジなの?」
「んなわけねーだろ!だ、誰がこんな、こんな、こんなに……」
はるとは、何かひまりの悪口を言おうとしたが、すぐには思いつかなかった。
はるとのまんざらでもない様子を見て、ひまりは更に顔を赤くしてうつむいた。
「まぁ、とにかくひまりはただのクラスメイトで、町づくり仲間ってだけだ。いいかあさひ、絶対に覚えておけよ?」
「うぃーっす。ってかさ、ふたりのまちって名前だと俺、やりづらいから名前変えてくれない?」
「た、確かにあさひ君の言う通りよね、じゃあ提案あるひとー?」
「はいはいはーい!」
「はい、あさひ君どうぞ!」
「俺様最強シティがいいと思いまーす!」
「却下」
「はいはーい!はいっはーい!はい、はい、はーい!って無視すんなよ……」
「あ、もしかしてなんだけど私、気がついちゃったかも。あさひ君の名前って漢字ではどうやって書くの?」
あさひは、自分の秘密基地から先の丸まった鉛筆と濡れてシワシワになった紙切れを探し出すと、ヨレヨレの字を書いた。
「朝陽」
「……やっぱりね。これはもう決まりでしょ!」
ひまりは、二人を連れてベースキャンプに戻るとノートの表紙に勝手に何かを書き始めた。
『
はるととあさひは、理由が分からず不思議そうな表情でお互いの顔を見た。
「あ、あのー、ひまり、ちゃん?どうして太陽町なんですかねー?」
「それはね、この三人がおひさまだからに決まっているじゃないの」
そう言うと、ひまりはページをめくってまた何か書き始めたた。
「
「
「
「ほらねっ?」
「あぁー、そういうことか!」
あさひは、もっとカッコイイ名前にしたかったが、他に意見を言おうにも既にノートの表紙に大きく『太陽町』と書かれてしまったので、仕方なく受け入れることにした。
だけど本当はこの名前もいいかもと心の中では思っていた。
はるとは、二人の様子を一通り観察し終わった後、ひとまず意見がまとまって良かったなと安心した。
そして、飲みそびれていた麦茶を思い出し、がぶ飲みしてから喋り出した。
「……ということで、改めて太陽町について説明します!」
はるとは、町の全体像と今後の計画を話した後、区画整理が思うように進んでいないことや、ひまりが野菜を育てる合間に作った小物が売れたが次はいつ頃何を売ればいいか考えていることなどを改めて細かく説明した。
「……よし、状況は分かった!俺が全部解決できるから、お前らはまた明日学校終わったらここに来てくれ。じゃあな!」
あさひはそう言い残して背中に羽織ったボロボロの赤いマントのようなものをバサッとなびかせキメポーズをした後、急に走り出したかと思うと、そのまま家に帰ってしまった。
「……まぁ、あさひを信じて今日は早めに帰ろうぜ。なんだかすごく疲れた」
「そうだね、私も今日は疲れちゃった。あさひ君、面白い人なんだけどね」
二人は突然の嵐のような出来事に気疲れしていたので、早めに帰ることにした。
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