呪いの壺

「凶器? これが?」


「ええ。そうです」


 能勢は坐り直して、俺の目をじっと睨んだ。


「この壺いっぱいに水を入れて、功刀さんの頭を押さえつければ」


「そんな、無茶ですよ。嫌がって暴れるに決まってる」


「睡眠薬でも飲ませたんでしょうね」


「推測ばかりじゃないですか」


「壺の中が濡れてました。そして床もテーブルも水浸しでした」


 能勢は俺から目を離そうとしなかった。


「そして、あなたの部屋から睡眠薬が見つかりました」


「俺が殺したって言うんですか? いい加減にしてくれ!」


「牛込さん、この壺は決して水を満たしてはならないんでしたよね。牛込さん、あなたが水を満たしたのでは?」


「そんなこと、してませんよ。指紋。そうだ、指紋を採ってください。」


 俺は無意識に上着のポケットの中身を握りしめていた。すると。

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