附子とプリンと保健室 ②狂言『附子』を語る但馬先輩
ソファーに腰かけた
実は但馬先輩、目つきが非常に悪い。中高合わせて千三百名ほどいる生徒で五指に入る目つきの悪さだ。
本人はそれを自覚していて、それを隠すために大きな黒縁眼鏡をかけるようになったらしい。
これは豆知識であって、あたしのうんちくではない。
「さて、狂言の『
「どうしても聞かないといけませんか?」
「聞きたくないのか? 興味がないのか?」
「もう昼休みもそれほど時間がありませんし」あたしは少し口ごもった。
「では、超短時間バージョンで説明してやろう」
結局説明するんだ。はあ……
「プリンでも一緒に食いながら聞いてくれ」
「そんなものあったのですか?」あたしは呆れたが、但馬先輩が用意したプリンに目を奪われた。
「風邪をひくとこういうものが食べたくなるのだ」
そんなことを言いながら、但馬先輩は話を始めた。
「ある家の
「なんか、どこかで聞いたことがあるような話ですね」あたしはそう言ってしまってから後悔した。
そういう反応は但馬先輩の
「身近なものとして、アニメの『〇休さ〇』だろな。『〇休』に出てくる話は、多くが別の僧侶が出てくる話から引用したものらしい。実際、この手の似たような話は日本のみならず各国の昔話でよく見られる。『飴は毒』型とか『和尚と小僧』型とか言われるタイプに分類される昔話だ。原型として有名なのは『
「なるほど、なるほど」
あたしは話半分に聞いていた。正直、但馬先輩の話などどうでも良い。
それにしてもおいしいな、このプリン。どこの店のやつだろ。
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