「【公式自主企画】怖そうで怖くない少し怖いカクヨム百物語」

水曜

第1話

 あるとき、深夜遅くまで机にかじりついて勉強していたことがある。

 時間が経つごとに眠くなっていき、次第に舟をこぎ始めた。いつの間にか私は眠ってしまっていた。

 そして、奇妙な夢を見た。

 深い冬の夜、私は見知らぬ雪山の中に一人で立っている。周囲は一面の白銀の世界で、雪は静かに降り積もり、冷たい風が吹きすさんでいる。木々は重たそうに雪をまとい、風が吹くたびに枝から雪がさらさらと落ちる音が聞こえる。

 私は防寒具を着ているが、なぜかその寒さは異常で、肌に突き刺さるような冷たさが全身を貫く。手足の感覚が徐々に失われていく中、足元を見ると、自分がどこに向かっているのかもわからない雪道が続いている。

 突然、地面が崩れ落ち、私は雪の中に沈み込む。体は重く、動けなくなり、息をするたびに冷気が肺に刺さるようだ。視界がぼやけ、暗闇が迫ってくる。

 その時、目の前に小さな光が現れる。それはかすかに揺れる温かな光で、遠くから私を呼ぶ声が聞こえる。声の主は誰なのか、光を追いかけようとするが、体が動かない。全身が凍りついているかのように固まり、ただ光と声を見つめるしかできない。

 どんどん光は遠ざかり、声もかき消されていく。そして、暗闇が完全に私を包み込む寸前、目が覚める。

 朝になると、机に突っ伏した状態で私は起きた。

 全身が汗でびっしょり。

 肩には毛布が掛けられていた。

 ……この毛布、一体誰が掛けてくれたのだろう。あのとき、私は一人暮らしで他には誰もいなかったというのに。

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「【公式自主企画】怖そうで怖くない少し怖いカクヨム百物語」 水曜 @MARUDOKA

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