8 親の顔より見たやつ
ついにシルフィアをデートに誘ってしまった。突然サプライズでデートに誘うなんて愚行が論外なのはさすがにおれでもわかるから、きちんと前もって伝えている。そして
おれは様々なヒーローを読んできた。一途溺愛、冷徹無関心、スパダリ御曹司、ゆるふわ天然、元鞘クズ、そしておれみたいなセフレ系……。
シルフィアの性癖がまだ掴めていない以上、どのパターンで動いたらいいか、どういうキャラで行ったらいいかわからないんだ。変にかっこつけるのは違うと思う。
ちなみにおれが好きなのはワンナイトから始まる棚ぼたヒーロー。それとセットの据え膳系ヒロインが好きすぎる。ヒーローが絶倫だとなおよし。「絶倫騎士団長」という設定を死ぬほど見た。TL世界の騎士団長の宿命である。
TLオタク語りしすぎた。本題のデートの話をしよう。
まずは清潔感だ。気合いを入れて、職場でやっているように前髪をセンター分けにすることにした。影の仕事である近衛騎士として顔を目立たせたくないという理由で、いつもは前髪をそのまま垂らして、メカクレにならない程度に目元を隠している。ちなみに前世の姉はメカクレヒーローが好きだった。
また話が逸れてしまった。次は服装。おそらくシルフィアはおれのラフな格好しか見ていないから、少しフォーマルな方がいいと判断。おれの本気度を出したいというのもある。高級レストラン&プレゼント作戦で行こうと思っているから、そのドレスコードを考慮した。
シルフィアに出掛け先の希望を聞いたところ、「二人でお酒が飲みたい、おすすめの酒場を教えてほしい」と言われた。おれの行きつけのところに連れて行こうと思っている。このラヴィエール王国では十八歳から飲酒が可能だ。彼女は十八歳になったばかりなので、あの夜は彼女が正しいお酒の飲み方を知らなかったゆえの過ち。
おれはそれにかこつけた最低クズ男だが、彼女がそんなおれをセフレから恋人に格上げしてくれるかどうかは神のみぞ知る。
もし彼女がおれと結婚前提の交際を望んでくれたとして、それは彼女に一生の苦労を強いることになる。仕事上の守秘義務があるから、彼女にそれをどこまで伝えたらいいか。だけど……彼女だったら笑顔で乗り切ってくれるような子の気がするんだ。ものすごくいい子だし。おれは彼女を信じている。
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