男子バスケットボール フランス戦
48年ぶりのオリンピック自力出場。これはもうほぼ初出場に近いレベルだった。さらに1勝できれば52年ぶりという、それだけですごい成果。
そんな中、強豪かつ開催国フランスに日本はなんとほぼ勝ち確定まで迫っていた。
84対80で日本が優勢、しかも残り時間はあと10秒、勝利は見えていた。
相手が勝つ可能性はほぼゼロに等しかった。相手が勝つためには、残り10秒で4点入れなければならない。シュート2本で4点だが、一回入れると、日本のターンになる。そうなれば日本も時間を使い、時間切れになる。3ポイントシュートをしたとしても、結果は同じ。ではフランスが勝つためにはどうすればよかったのか、それがこれである。
バスケットカウントワンスロー。
3ポイントシュートを決め、さらに相手のファウルももらって、さらに1スローを入れる、これしかなかった。
もちろんそれは日本のプレイヤーもみんなわかっていたはず。こっちがファウルさえしなければ、どんなシュートでも打たせれば日本の勝ちだった、ファウルさえしなければ。
ストラゼル選手はその日の試合で、3ポイントを入れまくっている非常に調子の良い選手だった。絶体絶命のピンチで彼は、一旦シュートを打とうとしてやめ、別の場所から打とうとした。そこに河村選手がマークに入るが、河村選手はジャンプもせず、軽く手を上げるだけだった。そこでストラゼル選手の3ポイントが入り、さらにファウルが取られた。
その後フリースローを入れられ、延長線で逆転負け。日本は悪夢の逆転劇を見せられることになった。
この疑惑の判定に「誤審」などとネットは大荒れしたが、ここについては私は敢えて触れることはしない。あの時、もしこれがあったとしても日本が勝つためにはどうすればよかったのか、あらゆる可能性を考慮し、次の二つのポイントに私は着目したい。
<絶対にファウルを取られない方法>
とあるテレビの解説者が面白いことをおっしゃっていた。
「ストラゼル選手は一度スリーポイントを打とうとした。その際は渡辺がマークに入った。しかし渡辺はストラゼル選手から距離を取り、ファウルを取られないようにしていた。ストラゼル選手は(これではファウルをもらえないと判断したのか)別の場所に移動して再びシュートモーションに入った。この時河村選手がマークに入った。この時おそらく審判からは河村選手がファウルをしているかどうか判断しにくい位置関係にあった」
色々推測が入ってしまうため、あくまでそういうこともあったかもしれない、くらいに捉えてほしい。
ストラゼル選手はスリーポイントを入れ、かつファウルをもらう必要があった。そのためそのチャンスのみを考えていた。最初に打とうとした時の渡辺選手のマークを見て、これではファウルをもらえないと判断して、場所を移動した。河村選手も積極的に接触はしなかったが、ファウルをもらえるかもしれない位置関係だったため、そこでシュートを打った。
もしこれが本当だとすると、河村選手が敢えて後ろに飛ぶなど、絶対にファウルを取られない場所にいたら、ストラゼル選手はまた場所を移動して、ひたすらファウルをさせる3ポイントの場所を探し続けたのだろうか。
しかし、勝つためにはそれが正解になる。ここにNBA経験者の渡辺選手とそうでない河村選手との差があったと言われてしまうと、厳しいが確かにありそうな話ではある。
悔しいけれど、その判断ができたストラゼル選手が一枚上手だったと言わざるを得ない。
(あんまりこういうことを言うと炎上したら嫌なのだが、以前のサッカーにあった中東の笛のような一方のチームにのみひいきする審判であれば問題だが、80-80からの河村選手に与えられたフリースローも本当はファウルではなかったのでは、という意見もある。結局このようなグレーゾーンでやっていかなければならないスポーツというものは、厳しいようだが僅差ではなく、しっかりと点差をつけて初めて勝利と言えるのかもしれない。そしてお互いグレーだったので、延長で白黒はっきりさせよう、となった延長戦でしっかり力の差を見せつけられてしまった以上、やはり負けを認めなければならないのかもしれない)
<同点にされたあとの対応にまだ日本に勝機はあった>
ここはどの情報源を探してもその時の映像が見つからなかったので、間違っているかもしれないことをお詫びしておく。
84−84になって、まだ数秒残っていた。ここで日本は1点でも入れれば勝ちだった。その1点は難しいように見えるが、相手チームはチームファウルがすでに5個以上溜まっていた。つまり、フランスの選手が何らかのファウルをした時点で相手チームである日本にフリースローが与えられる。河村選手は見る限り一度も外していないので、それに持ち込めれば勝てた可能性はある。
つまり、残り数秒で相手ゴールに突撃して、シュートを決めるか、相手のファウルを誘えればよかった。しかし記憶が確かであれば、河村選手は三ポイントのラインの外側で時間を使いながら、最後のスリーポイントシュートを打った気がする。そしてそれは外れ、延長線へ。もちろん入れば勝ちだが、そこまで高い確率ではない。
おそらくゴール下では身長差がある河村選手には分が悪い、ファウルなしにブロックされてしまうリスクもあった。そこをうまくやって、相手のファウルを誘うか、相手はファウルしないようにくるだろうから、そこで何とかシュートを入れるか、他のメンバーに託してシュートさせるという選択肢もあったのかもしれない。
いずれにせよ、振り返ってみるとスリーポイントシュートではおそらく相手はファウルはしないだろうから、確率的には低い選択肢になってしまったと言える。
<河村選手の希望の火を絶やすな>
河村選手は日本バスケットのみならず、身長が低いバスケットボールプレイヤーすべての希望の星である。そもそも日本人がバスケットボールで活躍するのは無理だと言われていた。圧倒的な身長差が有利に働くため、小柄な日本人には分が悪いからだ。
しかし、河村選手の動きは誰よりも早く、多くの海外選手を圧倒した。
ゴール下こそ、苦手であっても、少し離れたところや、スリーポイントという十分活躍できるところで河村選手や日本のプレイヤーは活躍してきた。
河村選手は今、NBAに所属するメンフィス・グリズリーズとの「エグジビット10」契約を獲得し、その可能性を伸ばしている。
「身長が低い選手でも活躍できる」
これは日本のみならずアジアのバスケットボールプレイヤーにとって、希望の光となるだろう。今後の活躍に期待したい。
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