第4話 ごめんね
カンッカンッカンッ―
深夜…大きな音が聞こえた千影は目を覚ますと辺りは火に包まれていた。
ーーー
「ゴホッゴホッ…義兄様…」
千影はなるべく煙を吸わないように着物の袖で口元を押さえて廊下へ出て戌夜を探した。
天井から木片がパチパチと音を立てて落ち、いつ崩れてもおかしくない程火が回ってきた。
「に…義兄様?…起きてください…」
廊下の突き当たりで戌夜は倒れていた。
咄嗟に起き上がらせようと体を支えて顔を見るとヌルッとした感触と…
「…ゴホッゴホッ義兄さ…」
戌夜の口からは血が流れに額には1発の銃痕があった。
「義兄様、ねえ、起き…」
千影は戌夜をギュッと力強く抱きしめた。
「…ッ-」
父が連れてきた腹違いの兄…今はたった2人の家族だった。
私の代わりに唐紅家の全期待を背負って
私が当主にならないように目をつけられないようにしていたその立ち振る舞いは完璧だった。
義兄様が本当は優しい人だと、裏で私の為に涙を流していることを知ってた。
「私は愚かだ、義兄様に甘えていたんだ-」
支えるのがやっとで煙を吸い力が入らなくなり
ギュッと戌夜を抱き締めたまま床に伏せた。
もう逃げられないほどに火が回ってきた…もういいと思った。全て終わりにしよう……と。
ミシッ…ミシミシッーー
木が軋むような鈍い音が天井の方から聞こえる…
[神獣憑き]は輪廻転生すると言われていたな。
私には前世の記憶がないから…生まれ変わったかも分からんが…
来世でもしも…なんてないか。
義兄様は殺されたのだろうか…
意識も朦朧としてきた。
もう終わりだ
「京乃…外に連れてってくれると、いっ…ありがとう…」
静かに目を閉じた-
5分後
唐紅家の建物は大きな音をたてて崩壊した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます