第3話 本性が掻き乱れる。
同時に
「…ここから出たいと思ったことはありませんか?」
京乃は千影の手を握りながら先程とは打って変わり真剣な口調で真剣に聞いた。
その言葉に千影は時が止まったような感覚に陥った。
「出れるのか…?」
「千影さんが望めば1日でも一生でも外への世界へ出しますよ」
「一生…」
本当に外に出られる?義兄様は?唐紅家はどうなる?
考え込んでいると彼は笑いかけた。
「千影さんの人生です…千影さんの気持ちを優先します」
千影の手を握る力を安心感を与えるようにギュッと優しく強く込めて返事を待った。
「出てみたい」
千影の瞳は真っ直ぐと力強く京乃を見た。
それに答えるように京乃は額に軽くキスを落とした。
「え?」急な行為をされた千影は驚き一瞬固まった後咄嗟にその場所を押さえた。
「クスッ…そんな驚かないでくださいよ」
クスクスと笑いながら元の対面の席に戻る京乃の笑顔に千影は不意にも目を奪われていいると
応対室の障子が開いた。
「こんな時間になってすまなかったな…千影は粗相をしなかったか?」
戻ってきた戌夜は疲れた顔をしていた。
「はい、全くありませんでしたよ。僕はそろそろ失礼します」
京乃は軽く返事をすると立ち上がり、戌夜と共に何か会話をし始めながら部屋から出ていった。
私と髪色も目の色も正反対の色を持つ彼は異様な雰囲気がある人で。
人に対して作り笑いが出来て、嘘を平気でつける…ないものねだりかもしれないけど…
考えれば考えるほど羨ましいと思ってしまった私はきっと醜いのだろう。
「部屋に戻ろう…」
千影はため息をすると自分の部屋に戻ろうと応対室を後にした。
ーーー
見送られた後少し歩き、迎えに来ていた車の後部座席に乗り込むとタバコを咥えて火をつけた。
彼が乗ったのを確認すると車を発進させた。
「若頭…準備は順調に進んでおりま…ぐぅッ!」
運転手の話途中、彼は吸っていたタバコを躊躇無く運転手の首に押し当てた。
「もう若じゃねぇだろうが…な?」
彼はニヤニヤと口角を上げながら付けた火傷跡にグリグリと強く指を押し当てた。
「うぐッ…く、組長…よ、 予定通り進んでおります…」
運転手が痛がっていることをまるで楽しむように彼は不敵に笑っていた。
「…千影の家は敵が多いからな…俺が守ってやらねぇとな」
千影単純で可愛かったな、あー早く俺のモノにならなねぇか…俺の為に泣いて欲しいなぁ…
「はぁ…」
ため息の後、頭上を見上げながら深く深呼吸をした。
「甘い匂い…」
「ヒュッ!?…」
彼専属の付き人、木々島は気が気でないくらい恐怖していた。
最凶であり最狂。裏社会でその名を知らない者はいない。
関わったら最後
[鬼憑き《おにつ》]十鬼朱組組長。
ーーー
カンッカンッカンッ―
深夜…
大きな音と異様な匂いを感じ目を覚ますと辺り一面火の海になっていた。
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