第2話:吹雪ちゃんは古井戸にいる。
俺は
噂によると彼女はめちゃモテるらしくて大学中の男子が寄ってくるらしい。
でもこれまで桜 吹雪を落とした男子は誰ひとりいないって話だった。
吹雪ちゃんは美人さん。
まあ、告るほうも美人に告るわな・・・相手が美人ならフられた時の言い訳も
なにかと都合がいいからな。
ブスにフラれると、男のプライドが許さない。
情けない話だけど男というのは、スケベと見栄で生きている。
俺もまあ、ご多分に漏れずだけどな。
だから余計、吹雪ちゃんが狙われるって方程式。
俺は吹雪ちゃんとはじめて遭遇した衝撃からしばらく経って、ふたたび
オカルト研究会の部室を訪ねてみようと思った。
モテまくりの吹雪ちゃんが俺なんか鼻にもかけないと思ったけど、でも諦め
きれない。
だから、オカルトの話がしたいと吹雪ちゃんに会いに行くことにした。
で、俺はドキドキしながらオカルト研究会の部室を訪ねた。
でも、部屋にはまた男子がふたりほどいただけで肝心の吹雪ちゃんがいない
じゃないか。
ひとりの男子部員に吹雪ちゃんの行方を聞いてみたら、彼女はこの大学の
敷地の隅っこにある古井戸を調べてに行ってるって話だった。
この前もそんな古井戸がどうのって言ってたな。
古井戸ってあれか?・・・・まさかのあの井戸・・・まじ貞子が出てきそうな
不気味な井戸。
その古井戸のことは俺も知っている。
昔、番町皿屋敷って話があるけど、この大学の敷地の隅っこにある古井戸も、
昔その話まんまの出来事があった井戸だって聞いたことがある。
その横には小さい祠があって井戸で亡くなった女を弔ってるって話だ。
だから壊すことも移動することもできないまま放置してあるんだって。
祟りがあったら怖いからね。
あ〜あ・・・よりによって・・・俺はホラーとか幽霊とかお化けとかって
苦手なんだよな。
吹雪ちゃんには会いたいし・・・だけどよく考えたら彼女と話すのは学内より
部室より誰も寄り付かない井戸のほうが絶対いい・・・だから今がチャンスなんだ。
そこで俺は訳あり井戸のある場所に向かった。
「あ、いたいた」
吹雪ちゃんはこっちにお尻を向けて座っていた。
着物を着た女なんて学内で吹雪ちゃんだけ。
着物でしゃがんでるから丸いお尻の形がはっきり分かる。
大きさといい形といい申し分ないお尻・・・もうたまんない。
裸になったらそれはもう立派で素敵なお尻にお目にかかれるんだろうな。
なことを妄想しつつ彼女を驚かすといけないと思って俺は大股で歩いて、
わざと咳払いなんかしながら彼女に近づいて彼女が俺に気づくようにもっていった。
案の定、彼女は俺に気がついて振り向くとおもむろに立ち上がった。
「どなた?・・・・あ〜この間の変な方?」
「またいらしたんですか?・・・私になにかご用?」
「あのですね・・・相談に乗って欲しいことがあるんですけど・・・」
「相談?・・・私に?」
彼女はいぶかしげに俺を見た。
「私で分かることなら・・・」
「あ、その前に自己紹介しときます」
「おれ
「はい・・・いくた様?」
「あ、生田のいくは生きるの生で、田はたんぼの田です、生田です」
「生田様・・・・私にご相談ごととは?」
「あ、あの・・・平安時代に行くにはどうしたらいいんでしょう?」
「は?平安時代に行きたいのですか?」
「一度行ってみたいな〜って思って・・・」
「生田様?・・・よければお試しになってみます?」
「えっ・・・試す?・・・試すってどうやって?」
「そうですね、まず用意するもの・・・手鏡にお風呂場の鏡・・・で
手順・・・深夜の2時24分にお風呂場の鏡の前に立つ」
「手鏡を持って鏡に向ける・・・手鏡に鬼が写ったら目を合わせる」
「で、次元空間に吸い込まれる・・・」
「それで行けると思います」
「や・・・・やめましょう〜」
「ふふ・・・そんなことしなくても行けますよ、平安時代に」
「は?・・・今の嘘なんですか?」
「生田様があまりに真剣な顔してらっしゃるから、ちょっとからかって
差し上げました」
「え〜・・・」
「ごめんなさい」
「平安時代まで行きたければその古井戸から行けます」
「古井戸が平安時代と現代の結界になってるんです」
「え?そんな不気味な古井戸が?・・・」
「中からお菊さんが割れた皿持って出てきたりきません?・・・幽霊ですよ幽霊」
「そんなのは一般人がこの井戸に入らないよう私の
「誰も彼もが事実を知ってしまうとやっかいですからね」
「
「
「私と一緒に行ってみますか?平安時代に・・・生田様?」
つづく。
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