第6話
会場に着くと、いつもの土俵が典型的なプロレスのリングに変わっていた。
それ以外…例えば『プラチナ枡席』の機関砲はそのままだ。
相手の実力がどうであれ、俺達にもチャンスはある事に安堵した。
そうして場内アナウンスが流れ、大型スクリーンに対戦表が表示された。
【第1試合】
【第2試合】
【第3試合】
【第4試合】
【第5試合】
先日道端で合ったチャールズは、親方と共にリングサイドで試合解説を担当するようだ(そういや、テレビで生中継されるって話を忘れてた)。
NDWFの薬漬け外人レスラー共をぶっ潰してやる!
第1試合の俺は意気揚々とリング入りした。
観客の視線を一身に浴びながら、試合開始の合図を待つ。
カーン!
やがて、ゴングが鳴りその瞬間が訪れた。
相手のテッドはどうやら、NDWF加入数ヶ月のほぼ新人らしい。
一応鍛えてはいるが、いかにもベビーフェイスって感じの垢抜けない風貌だ。
まずは軽く組み合って様子見だ。
俺の予想通り、テッドは俺の体重を持ち上げられないようだ。
だが、このままでは不味い。
そう判断した俺は素早く距離を取り、得意の突き押しを仕掛けた。
テッドの顔面に強烈な張り手が炸裂する。
そして、枡席から投げ込まれたトカレフをキャッチするとテッドの急所を狙って発砲。
テッドは即死…したかに見えたが、あろうことがニタニタ笑いながらこちらに掴み掛かろうとしてきた。
なんだこいつは!?
完全に狂ってやがる…!
俺は思わず怯んでしまった。
「I'm actively participating in clinical trials for a pharmaceutical company under the NDWF umbrella. With regular doses of the 'pain blocker' and the 'bulletproof skeleton drug' they're developing, my body can only crack a bone, no matter how many times I get shot. You don't stand a chance unless you hit me in the brain or heart... if you can even shoot at all...hehehe(俺はNDWF傘下の製薬会社の臨床試験に参加してる。あいつらが開発してる「痛覚遮断薬」と「防弾骨格薬」を定期的に打ってるから、どんだけ撃たれても骨にヒビが入る程度だ。脳天か心臓を狙わない限りお前に勝ち目はない…撃ち抜けるモンならな…へへへ)」
なるほどな…。
一見ベビーフェイスでもNDWFのレスラー、薬物の使用は躊躇しないって事か。
トカレフが効かないとなると…そうだ。
俺は『プラチナ枡席』にズラリと並んだ機関砲を見上げた。
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