第5話 顔合わせ
時刻は今でいう十五時頃となった。そろそろ山内家が岡豊城天守に来る頃だ。
「山内兼寿と娘の麗姫にございます。」
元寿の重低音が天守に響く。
「入れ。」
元親は堂々とした声で入室を許可する。
「お目通り感謝いたします。この度は信親様と麗姫の婚姻に関して御許可をいただけないかと存じます。」
兼寿は丁寧に父に挨拶をする。
「信親から話はある程度聞いている。信親が望んだ女が誰かと思ったら兼寿の娘だったか。」
山内兼寿は元親の父国親にも仕えた重鎮で父とは仲が良い。
「良いだろう、わしとしてもお前とたちと関係を持つのは好ましいと思っておるぞ。」
「はっ、ありがたき幸せ。麗姫。信親様をしっかり支えるんだぞ。」
「不束者ですが信親様のおそばに上がらせていただきます。」
そう言いながら麗姫は深く平伏する。いまだに慣れないが戦国時代では当然の行為だ。その後軽く雑談をして兼寿と麗姫は屋敷へと戻る。
「なんだ兼寿の娘だったか、先に言っておけばこの場はいらなかったぞ。」
元親は笑いながら俺にいう。
事実俺も父と同じことを考えていた。だが万が一のことを考えてしまったからわざわざこの場を設けた。
「すみません父上、初めてのことで何をどうすればいいか分からず…。」
俺は反射的に謝る。
「よいよい、今度から家臣団の娘ならわしの許可はいらんぞ。」
そう言って父は軍議に席を移しにいく。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます