成長編 5歳の時(エレノア視点)
前世ではお嬢様だっため、礼儀作法に関しては問題無く、卒なくこなしている。
勉学ではなんとお母様自ら、時々ではあるが教えてくれている。
学問のレベルが前世よりもこの世界は低いが、地理と歴史に関しては前世の記憶は当てにならないので一から覚えていかなくてはならない。
それに、お母様がよく数学の問題で私が前世でも知らなかった裏技を教えてくれたり、理科の物理の問題で豆知識を教えてくれたりと私が知らない事をたくさん教えてくれた。
前世で勉強を教えてくれた柚葉先生みたいに・・・
魔法に関しては先生が私の持つ魔力に怯えて逃げてしまうため、あまり教えてもらえている事が無い。
一番興味のある魔法を教えてくれる人がいないため図書室に行って勉強しているが、なんの言葉で書かれているか分からない本ばかりで全然理解出来なかった。
そうして、日を重ねるとある日、お母様が私に光魔法を使った魔法で透明になって驚かせて来た。
私はその魔法の使い方を教えてもらい、途中出会った魔獣をお母様が手で叩いただけで倒してしまった所を目の前で見て、本当に凄いなぁ〜と改めて思った。
そして、それを見た私は
でも、伝えたら反対されるだろうと思ったので教えてもらった透明化の魔法で城の近くの森に私は入っていた。
森に入った私は更に奥に行き、木々が開けた花畑に着いた。
その光景に見惚れていると突如、目の前に黒い影が現れた。
その影の正体はデカい蜂だった。
蜂は私に向けて針を向けてくる。
「ふふふ、森に入ってやっと魔獣に会えましたわ。」
「キィィィィィィィィ!!!」
そして、私と蜂は互いに距離を詰めて行った。
お互い、あと一歩で接触するという時、急に蜂が目の前で燃えた。
私は呆然とその光景を見ていると、背後から声をかけられた。
「こんな所で何してるのお嬢ちゃん?」
私に話しかけて来たのは深緑のロングヘアにアメジスト色の瞳を持った女性だ。
(最近になって魔力を感じれるようになったため城の人達と私で魔力量でどれだけ差があるか計っていたから分かる。この人、お母様と同じくらい魔力量が桁違いに高い。私なんか一瞬で倒されてしまう。
慎重にならないと。)
「いえ、実はお母様が何時もこうして魔獣を吹き飛ばしているの見てたから自分にもできると思いまして試そうと思ったのです。」
目を丸くした女性は次の瞬間、腹を抱えて大笑いをしていた。
「ハハハハハハっ?!ヒーヒー!!!アハハハハハハハハ!!!!!そうかそうか、君はエミリアちゃんの娘のエレノアちゃんか。 なるほどなおもしろすぎ!!!」
(この人、お母様のご友人か何かでしょうか?
教皇の立場であるお母様の事をちゃん付けで呼ぶなんて、相当位が高そうですね。 それにしても、ここまで笑われるなんて・・・)
「いやー、笑った笑った。 まさか君がこんな所にいるとは思わなかった。 けど、君、魔獣にその身一つ単身で突っ込んでわ駄目だよ。 まだまだ君ではそんなこと出来ずに死んじゃうから。」
「ご忠告感謝します。」
そう言って、私のことを見つめてくる女性は何を思ったのか急に、私に抱きついてきた。
「っ! ちょっ、何をやっているんですか?!」
「うーん? 何って君が可愛いからいけないんじゃないか。 私、可愛いものを見ると抱きついてしまう性格でね・・・、それにしてもエレノアちゃん、君、魔力の操作がダメダメだね。 今まで何してたの?」
「いえ、実はお母様から紹介して頂いた先生方が皆、私の魔力に怯えて逃げてしまって、ちゃんとした授業を受けれていないんです。」
「あぁー、それは宝の持ち腐れだね〜。」
そう言った女性が顎に手を当て考えている。
しばらく待っていると考えをやめたのかパン!っと女性が手を叩いた。
「よし、じゃあ私が魔力操作と魔法を教えてあげよう!」
「えぇ? いいんですか?」
「うん、いいよ。 というかエミリアちゃんてば、もしかして私の事エレノアちゃんに伝えてないな!」
そう言って怒る女性に私は問いかけた。
「あの、失礼ながらあなた様のお名前は何ですか?」
問いかけた私に向けてとびっきりの笑顔で女性はこう答えた。
「私の名前は森龍ナージェラ。君のお母様の親友だ。できる事ならママって呼んで欲しいな。身内に様付けで呼ばれたくないし。私にとって君は娘みたいな存在だし。」
私はにじり寄って来るナージェラから妙な圧を感じて、混乱していたが最終的に決心をつけた。
「はあ、分かりました。えーっと、ナ、ナージェラマ、マ。」
「うーん、もう一声!」
「ナージェラママ!」
「うん、良い響きだ!ママはとても嬉しいよ!」
そう言ってまた抱きついて来たナージェラママが落ち着くまで待っているとナージェラママが私から離れて手を握り花畑の中央に着いた。
「今から水魔法で動物を作るよ!」
そう言ってナージェラママは色々な動物を作っていった。
水の動物たちは私の方に来てクルクルと周囲を回っていた。
「わぁー、可愛いい!」
「ふふふ、可愛いでしょ!」
そうしてナージェラママと水の動物と一緒に遊んでいるとお母様の声が聞こえた。
「エレノアちゃん!」
「あ、お母様!」
そうしてお母様に抱かれた私はお母様の温もりを感じながらこれから来る新しい日常に期待の花を咲かせていた。
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