成長編 5歳の時〈下〉(エミリア視点)

 二人の学生と別れた私は森の奥へ進む。

 すると、楽しそうな声が聞こえた。

(この声は・・・っ!エレノアちゃんの声だ!)

 エレノアちゃんの声だと理解した瞬間、私はそちらの方に全力で走った。

 すると、木々が開けた花畑にエレノアちゃんと見覚えのある一人の女性が水で作られた動物と遊んでいた。


「エレノアちゃん!」


「あ、お母様!」


 私はエレノアちゃんに近づき、抱きしめたままもう一人の女性に向いた。


「久し振りですねナージェラ。」


「うん! 久し振りエミリアちゃん!」


 そう言って、私に抱き着いてくる深緑のロングヘアにアメジスト色の瞳を持つ女性は人化した姿の森龍ナージェラだ。

 一体どうして、彼女がエレノアちゃんと居るのか分からないがエレノアちゃんの安全を守ってくれたことに感謝しなくては


「ありがとうナージェラ。あなたが何故エレノアちゃんと居るのか分からないけど一緒に居てくれたことに感謝するわ。」


「別にいいよ、前にも言ったけど親友のエミリアちゃんの娘なら私にとってもエレノアちゃんは娘だよ。 というかエレノアちゃんって本当にお転婆だね〜。 魔法も使えないのに魔獣に突っ込んで行くとこ近くで偶然見えたから助けたんだよ。 なんで魔獣に突っ込んで行くのって聞いたら(お母様が何時もこうして魔獣を吹き飛ばしているの見てたから自分にもできると思ったから)って言うからビックリしたよ。 子供の前であまり常識外れな事はしないでね!」


 なんだって⁉

 エレノアちゃんに格好良い所を見せようと思ってやっていた事が裏目に出るとは・・・

 何しているんだ私ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!

 そう落ち込んでいる私の腕の中でエレノアちゃんが上目遣いでこちらに向いた。

(可愛いいいいいいいいいいいい!!!!!)


「お母様! 私、魔法を使えるようになってお母様みたいに立派な教皇になりたいです! なので、これからはナージェラママに魔法を教えてもらいます。」


「ええ、良いわよ。 ナージェラマ・・・マ?  エっ・・・エレノアちゃん、ナージェラがママって本当?」


「うん! ナージェラママ!」


「そうだよー! 私、ママだよー!」


(なっ、なんですって!? ナージェラのことをママと呼ぶなんて・・・羨ましすぎるわ!!!)


「私もママって呼ばれたい!!!」


「う〜ん、お母様はお母様で私の目標だからそのままでいてほしいなぁ〜」


(くぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!! 嬉しいこと言ってくれるエレノアちゃん大好き、愛してる!)


「わかったわ、ママと呼ばれるのは我慢するわ。 ナージェラ、あなたこれからエレノアちゃんに魔法を教えるんだったら城に来たらどう?」


「わかった!」


 そう言ってナージェラは準備してくると言い、私達の前から姿を消した。

 その間、エレノアちゃんにナージェラとどんな事をしていたかを聞いた。


「最初に会った時はナージェラママが私からお母様の匂いがするって言ってお母様の名前を出されたから信用できるなって思ったの!」


(うん、私の名前の効果が凄い! エレノアちゃんにそこまで信頼されてるなんてお母様嬉しい!!!)


「それで、お母様との出会いを聞いたの。 先ず、ナージェラママと初めて会ったお母様が凄かったって! 世界五大龍の一人に対してあの胆力は凄かったからビックリしたけど気に入った理由の一つでもあるって言ってた。」


(まあ、確かに初めてナージェラと会った時は色々な意味で凄かったなぁ~。 特にあの殺気が凄くて、私の騎士が全員気絶してたもんなぁ〜。)


 そこから、エレノアちゃんはナージェラの魔法を見て、自分も魔法を使えるようになって立派な教皇になりたいと言った。

 教皇の仕事は主に国事や外交関係の問題を解決することだ。

 もちろん、大樹様を崇めるのも忘れない。

 大樹様がいなければ私達には祝福ギフトなど無かった。

 まあ、要はこの三つほど仕事がある。

 でも、私は時々だが城の掃除を手伝ったり、孤児院に行って寄付をしたり、食事を作ったりと色々な事をしている。

 その御蔭で、今では色々と名声が挙がっている。

 これも全てはエレノアちゃんが安心して暮らせるようにするため、私は全力で仕事に謹んでいる。


(私にとってエレノアちゃんに愛されてる事が何よりのご褒美だわ。)


 そう思いながら、エレノアちゃんの話を聞いているとナージェラが戻って来たので、私の魔法で城まで転移の魔法で帰った。

 これから先、やる事が多いなぁ~と思いながら今日も私はエレノアちゃんをいっぱい愛している。














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