成長編 5歳の時〈上〉(エミリア視点)
5年後
私はエレノアちゃんに祝福を授けるため大樹を管理する神殿に護衛をつれてエレノアちゃんと向かっている。
「エレノア、楽しみですか?」
「はい! すっっっごく楽しみです!!!」
そしてぴょんぴょんと跳ねるエレノアちゃんを見て、「あらあら、そんなに楽しみなのね。」と言った。
形式上、私は教皇という立場なので人前では「エレノア」呼びになってしまっている。
(教皇という立場に関係なく、私はエレノアちゃんのことをずっっっっっっっっと抱きしめていたいのに~~~)
「教皇様、エレノア様、お待ちしておりました。 さあ、中へどうぞ。」
神殿に着き、待っていた神殿長の案内の元、私達は大樹の下に着いた。
「エレノア様、どうぞ大樹様にお触りください。」
そして、大樹に触れたエレノアちゃんが見えなくなるほどの眩い光が私達の視界を奪った。
数分後、光が収まりエレノアちゃんの姿を確認することができた私は近寄った。
「エレノア、どのような祝福を授かりましたか?」
すると、こちらに振り返ったエレノアちゃんは満面の笑みで「私、世界王の御子って言われた。 世界王ってお母さんのことだよね!」と言われた。
「えぇ、そうよ。」
と素っ気なく返しているが、私は内心、喜びのあまり昇天しそうになった。
(私、エレノアちゃんの正式な親として大樹にも認められたわーーー!!!!!)と喜びながらエレノアちゃんを抱きしめ、城に戻った。
城の者達からも祝いの言葉を貰い、エレノアちゃんは淑女教育と平行して10年後に通うヴィスタリア聖魔法学院(教国に存在する学院の中で最高峰の学院)の受験に向けて勉強を行い始めた。
私は教師だったため勉強を教えれるのだが、魔法以外の学問のレベルが前世の時よりもこの世界は低いため余裕すぎた。
ちなみにどれくらい低いのかというと、学院の卒業テストのレベルが前世で言うと中学校卒業レベルの問題だ。
私は教師だったから中学レベルなんか余裕なのでエレノアちゃんに問題の裏技とか色々教えたら、学院で学問無双するかもなぁ~、と考えながら時々、公務を終えた後に教えていた。
エレノアちゃんが
「どうしよう! いくら世界王の御子だとしても魔獣と戦ったことも、ましてや魔獣を見たこともないあの子に生きて帰ってこれる保証は無い。 どうすればっ! ナージェラは頼り無いし」
ヴノルード大森林には国で一番多く魔獣が出没しており、奥地には大森林を統べる世界五大龍の一体、森龍ナージェラが居る。
ただ、ナージェラに関しては問題無い。
実は、ナージェラとは私が転生した二週間後にナージェラから《世界王》としての私に興味を持ち会いに来ていた。
その際、私とナージェラは契約して友達になったため、エレノアちゃんの事は伝えている。
エレノアちゃんを見せた時にナージェラが「エミリアちゃんによく似た子供だね〜、なら私にとっても娘のような存在だね!」と言っていたのでナージェラが敵対するようなことは先ず無い。
ちなみに、契約とは私とナージェラのように他種族間で結ぶ友好の絆の事だ。
ただ、ナージェラは性格はおっとり&怠惰で、あまり動いてくれない。
なので、私が動かないと行けない。
「はぁ~、仕方ない。 エレノアちゃんと国ならエレノアちゃんを第一に選ぶ! 他国の評価なんか気にしない気にしない。 よし!、大森林へ行こう!」
そして、私は私直属の神官に万が一のことを考え、騎士と治癒の魔法が使える神官を派遣するよう伝え、一人で大森林に向かった。
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