第五話『軌道エレベーター』

 険しい山肌に突き刺さる大顎。

 そこから伸びている、果てしなく続くメタリックなボディ。

 それは、夥しい数の鎖で体を大地に縛り付けられている。


「いくぞ! 解放!!!!」

 ジョン・スミス氏の合図。


 数え切れない、同時爆発。

 

 鎖の全てが粉砕され、ムカデは、解き放たれた。


「そうだ! それでいいぞ! お前はムカデであり、フンコロガシだ!!!」


 空に向かって立ち上がる、長大な鈍色にびいろ


 それは、まさに童謡『ジャックと豆の木』に出てくる、豆の木のモノトーンバージョンである。


「感慨深いねぇ! 最後まで、静止軌道まで、頼むよ。ゆっくりでいいからさ!」

 ジョンは、少年の目をしている。


 そしてついに、天を貫く遺伝子組み換えムカデが、たくましく、そびえ立った。


——軌道エレベーターの実現により、人類の宇宙探索は、加速する。


〈第六話『ジャックと豆の木』に続く〉

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