俺をフった元カノは今

「なあ、良かったのか?」

「何が?」

「彼氏…あぁ、元カレ。フっても良かったのか?」

 とある日の放課後、自分の恋人に別れを告げられて、教室の自分の席に突っ伏してる一人の生徒月守響谷を置いて、長埜ながの理世りせ城井しろい奏斗かなとの二人は城井の家への道を辿っていた。

「別にいいよ、奏斗くんの方が好きなんだもの。愛さえあれば問題ないでしょ?」

「そうだな」

 2人はどちらともなく手を繋ぐ。

 2人の間には幸せな空気が流れている。ただ、この二人の幸せな時間とは、一人の不幸の上に成り立っているものである。一人の不幸が二人分の蜜を作ったのだ。


 そうして城井の家へと到着する。

 城井の両親は出張中、両親が出張に行ってから3日目の、家事や片付けが苦手な男子の家。

「まあ、ちょっと部屋が汚いかもしれないけど上がって」

(えぇ…部屋汚いの…?)

 城井にどんなイメージを着せていたのか、長埜はそんな感想を抱く。

 月守響谷は料理に洗濯、裁縫など、家事という家事は大抵こなすことができたため、彼女は前の恋人と今の恋人の差を感じているようだった。


 城井の家は、酷いという程ではないが、散らかっていた。

 インスタント食品のゴミや、ペットボトル、ゴミ箱いっぱいまで入ったゴミ。

 少なくとも、月守響谷の家よりも環境は良くなかった。

(…奏斗くん、家事できないんだ…)

 呆れか、少し失望したのか、彼女は散らかった部屋を見てそんな感想を抱く。

「流石に散らかりすぎ…」

 これなら月守響谷の方がマシだったと、彼女はそう思った。

「か、片付け手伝ってくれる?」

 城井は長埜にそうお願いをする。

 おかしい。月守響谷なら、万が一にも部屋が散らかっているときは事前に言ってくれて、それでも来るかやっぱり来ないかを選ばせてくれるはずなのに。

(奏斗くん…もしかして私に片付けを手伝わせに家に来させたの…?)

 月守響谷元恋人という存在は、彼女の新たな恋人へのハードルを大きく上げることになった。


 これなら、月守響谷という存在のほうがマシだと。彼女の城井に対する好きが揺らぐ。


――――――――

作者's つぶやき:すみません…。ちょっとって言うか大分短いですね。今回含めて3つこんな感じの話を書くのでお楽しみに…。

GSMワールド、書こうとは思ってるんですが…ネタが浮かばない、だからこっちに避難してしまう…私の悪い癖ですね、治さねば。

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